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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 必昇への道のりの厳しさを味わった、地元開幕戦
〜 トップイーストリーグ第二戦 vs東京ガス戦 〜 |
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岩手県の街々では収穫を祝う秋祭りが、行楽シーズンに合わせて盛んに開催されたシルバーウイークの2日目。
強めの秋風は吹くものの、レジャーにスポーツにもってこいの陽天の北上総合運動公園では、SWの地元開幕試合を見逃すものかと早くからSWテントが賑わっていました。
交通安全のポスター、ふっくら応援団うちわが飛ぶように配られて、応援マスコット「SWナカピー」のトラの着ぐるみも子供たちに大人気。
渋滞の高速道路をかいくぐって県外から集まったサポーターと釜石はじめ岩手各地から駆けつけたサポーターの皆さんも、試合前には、サブグラウンドの練習を熱心に見る人、応援グッズを買っていく人、SW応援介護タクシーに見とれていく人、とそれぞれの時間を過ごしながら、胸のうちには地元初勝利と2勝目で勢いつけてトップリーグに、との思いはひとつ。
IBCの生放送にかじりついて応援したサポーターも、用事の傍らで携帯片手に実況チェックをしていたサポーターも、試合会場の大応援団とともに、期するところは、上昇への階段を踏む勝利です。
相手の東京ガスは、昨年イースト4位。リーグでは毎年SWの上位に位置する強豪ですが、近年の直接対決の戦績は一進一退、SWにとって宿敵とも言えるチームです。今季プレシーズンでは、Aチームが横河武蔵野、三菱重工相模原、東海大学を破るなど好調でしたが、開幕戦はサントリーフーズに痛い引き分け。2戦目で必ず勝利をもぎ取らんと、気迫十分に岩手に乗り込んできました。
激戦必至、必昇には絶対に落とせない相手に、地元開幕戦の期待を背に受けたSWがどう闘ったか、重要な一戦をレポートいたします。
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13:05、東京ガスのキックオフで熱戦の火蓋が切って落とされました。
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敢えて風下を選んだのか、SWの見事なリターンに意気込みを感じさせる立ち上がり。意気揚々と駆ける選手たち、次から次にアタックするFW陣。長田の球捌きから、ライン攻撃にも弾みがつきます。これはいけると思った瞬間、東京ガスはSWの流れを断ち切るペナルティ。
相手陣ほぼ中間位置のショットを、逆風ながら津嶋が見事に決めて前半10分3−0と先制です。
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いつトライをとってもおかしくない好調の立ち上がり。相手SOの風に乗せたキックで、自陣ゴール前に攻め込まれても、ターンオーバーから速攻を仕掛けて、みるみるうちに相手ゴール間際まで攻めるSW。
と、今度は攻めるSWが勢い余った様子の反則をとられます。ピンチを救われたSWのペナルティと追い風に、上手く乗じた攻撃に転じる東京ガスに、やや防御の態勢が遅れたか、素直に受けてしまうSW。
あれよあれよの2次攻撃でトライを奪われ、前半18分3−7と逆転されてしまいます。
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さらに仕切り直しのキックオフが、難しい向かい風の中でタッチを割ってしまい、相手ボールのセンタースクラムに。風もスクラムを押しているかの様な相手のプレッシャーに苦戦の兆しが見えてきたSW、転がるボールも相手にバウンドし、相手のパスミスも、反対に相手に有利に働いているかのような劣勢に転じます。東京ガスの強力な外国人FWに、スピード溢れるバックス陣を思うように止められず、22分、32分と、いとも簡単にトライを許したSW、3−19とリードを広げられます。 |
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前半に大きくリードされるのは、完敗した昨年と同じ展開。天の利、地の利も活かせず、嫌な流れではありましたが、このまま引き下がらないのが自力の証。素早い攻撃を、またも相手のペナルティに阻止されるも、ラインアウトからお手本のようなモールをつくり、FW一丸となって押し込みHO小野寺がトライ。津嶋のゴールも決まって10−19と追い上げます。
前半終了間際、東京ガスの激しいアタックに自陣ゴール前まで押し込まれますが、これをしっかり防ぎきり、9点差で折り返しました。
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風下ながら、最後にトライを奪い、時間を追うごとにタックルも決まってきた感のあった前半。風上の後半は、早めに追いつき、引き離すくらいの活躍を期待するスタンドのサポーター。ハーフタイムには、サポーターの熱意で完成した2曲の応援歌が披露され、さあ精魂込めたキックオフです。
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開始から、期待通りの攻撃ラッシュを見せるSW。一気呵成に攻め込むSWのFW陣に、またも気勢をそぐような相手の反則。PGを津嶋がしっかり決め、後半3分13−19とじわり追いかける展開です。
と思ったのも束の間、またも攻めての反則に、ターンオーバーから速攻の東京ガス。あれあれという間もなくラインを突破され、4トライ目を献上。後半13分13−26と突き離されてしまいます。
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しかし、ここからがSWの真骨頂。まだまだチャンスは十二分にある、とばかりに、いつも以上にスタンドから響く釜石コール。この気持ちが届いたか、SO小原の果敢なチャージをキャプテンアラティニが見逃さずに独走トライで、三度、逃げる相手を追いかけるSW。津嶋の難しいゴールも的確に決まり、後半18分に20−26と射程圏内に相手を捉えます。
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押せ押せのSWは、相手を追いつめ、またも相手の反則。トライを狙いにいったラインアウトから、FW陣が再び見事なモール攻撃。この日最高の釜石コールの中、HO小野寺が本日二本目のトライを挙げます。津嶋のゴールが決まった瞬間、勝利を手にしたかのように沸き立つスタジアム。後半23分27−26と、筋書き通りともいえる逆転劇。
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さあ、勢いに乗って一気に畳み掛けるぞ、と意気込むSWに、相手のキックオフパントのキャッチに交錯するミスが出て、一瞬、足が止まった選手たち。これに乗じてすかさず攻め込む東京ガスに、早いラックから波状攻撃でノーホイッスルトライを奪われる悪夢のようなシーンに、まるで時間が止まったかのようなスタジアム。27−33。
まだまだワントライで逆転のスコアながら、攻め込みながらペナルティで返され、逆に自陣でペナルティを与えてしまうSW。後半31分にPGで追加点を与え、27−36と苦しい9点差となります。
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それでもチャンスを見出し果敢に攻めるSWは、カウンターからFBピーター・ミラーの絶妙なハイパント。誰もがトライを確信したとたん、相手のCTBがミラーに体当たりして、ペナルティショットを狙わざるを得ない展開。
ミラーが決めて30−36とまたもワントライ差になったものの、もはや残された時間は残りわずか。
死力を尽くして最後のアタックを仕掛けるSWでしたが、この場面でも東京ガスにこの試合何度も見せられたラックでのターンオーバーを許し、万事休す。非情のノーサイドのホイッスルが鳴り響きました。
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チャンスを相手の巧妙さや自らのミスでものに出来ず、相手のチャンスはまともに受けて潰すことの出来なかったSW。わずかの差ではありましたが、昇格を争うライバルに勝ち点5を奪われる厳しい結果となりました。
「ラインアウトの確実さでは抜群の成長があった。1対1の激しさに悔やまれることは、みんな充分わかっていると思う。悔しさを、いつまでも引きずらず、切りかえよう。次に気持ちを切りかえて、絶対、勝てる、絶対に勝とう!」
ほぞを噛むような思いを、切りかえて、池村HCからの檄を受けた選手たち。
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試合直後には、一様に落胆の表情を見せていたサポーターも切りかえて、次戦の必勝を期して選手たちに大きな声援を送っていました。
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佐々木 天晃選手 |
P.ALATINI選手 |
柿本 洋平選手 |
菅野 朋幸選手 |
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第3戦は、昨年トップリーグから降格してきたところを見事に打ち破った三菱重工相模原ダイナボアーズのリベンジを、
26日(土)13:00に盛岡南公園球技場で迎え撃ちます。
勝ち点を加えたとは言え口惜しい負けを、すべて払拭してくれるような勝利を祈って、皆さま応援よろしくお願いいたします。
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