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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 苦境の中で見せつけた、必昇への気迫!
〜 トップイーストリーグ第四戦 vs横河武蔵野アトラスターズ戦 〜 |
大型台風18号が襲来し、終日の暴風雨に見舞われた木曜日が過ぎ、台風一過の余勢をかって、秋晴れの体育の日が訪れた盛岡南球技場。
SW激闘の翌日、朝早くから子どもたち、親子連れが集まり、第1回いわて盛岡タグラグビーフェスティバルが開催されました。
サントリーカップ全国小学生選手権大会への出場実績をほこる矢巾ラグビースクール、赤石小レッドカルロスと、SWのお膝元、釜石からはるばるやって来た小佐野小バーバリアンズの3チームによるタグバトルロワイヤルと、SWOB向井陽さんが、おもしろおかしくコーチするタグラグビー教室とフレンドリーマッチに参加した盛岡市内小学校と盛岡ラグビースクールの皆さん、女性やおじいちゃんといった大人もまじえて250人余の参加者で賑わいました。
東北電力さんはじめ各団体からの支援のもと、ラグビーの空洞化する盛岡市内に、子どもさんからラグビーを浸透させんがため企画されたフェスティバル。これからの近い将来に、フェスティバルに集まった子どもたちがきっかけになって、岩手のラグビーを、そしてSWをさらに押し上げてくれる姿が目に浮かぶような、今後が楽しみになるイベントでした。
その前日11日(土)、同じ盛岡南球技場で死闘ともいえる激戦を繰り広げた我らがSW。
試合前には、お馴染みの交通安全のポスター、文化タクシーさんのハイブリッド介護タクシーSWサポート号、応援マスコット「SWナカピー」のトラの着ぐるみが盛り上げてくれました。
残念ながら「三陸さんま」の陸揚げがなく抽選会は無しよ、となりましたが、阪神低温さんからは中国から派遣された研修社員のお嬢さんたち40人が、阪神低温さんオリジナル作成の中国語ラグビー解説ペーパーを手にしての熱い応援。声を揃えて響かせた「釜石ガンバレ〜!」の声援には、思わずスタンドから拍手が起こっていました。
第4戦の相手である横河武蔵野アトラスターズは、昨年トップリーグに挑んだものの、無念の降格となりました。しかし、今季も日本代表オライリーをはじめとした意欲的な補強を行い、秋田NB相手に100点ゲームを演じるなど、開幕から危なげなく3連勝。「イースト全勝優勝、トップリーグ昇格」を目標に掲げる、リーグ最強という呼び声も高い強豪です。
トップリーグ「東芝vsリコー」同時開催とあって、時間を追うごとに増え続けたサポーターは2,000人超。既に2敗を喫し、苦しい状況にあるSWにとって、起死回生の金星を狙うには最高の舞台が整いました。大観衆の前で、強豪相手にトップリーグを目指す意地と気迫を見せてほしい、祈るファンの思いを乗せた激闘をレポートします。 |
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上空には北風が、グランドレベルではバックスタンドから吹く横風がなぐり寄せ、運ばれてきた雨雲が時折にわか雨を降らせる空模様ながら、概ね日差しを浴びた盛岡南球技場で、12:00横河のキックオフで幕が開けました。
前評判通りの強力フォワードを相手に、ひるまず果敢なタックルを決めるSW。押し込まれてもじわじわと押し返す姿に、スタンドからも緊張感が滲み出します。
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一進一退の攻防が繰り返される中、前半15分、相手ノッコンをSO小原がキャッチ、FLファーディーがゲインして、勢いよくフォローしたNo.8馬渕が、イメチェンの坊主頭、大きなストライドで独走。待ってましたの先制トライを挙げます。FB津嶋のゴールはならないものの5−0とリード。
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[馬渕選手] |
躍起になって立て直しにかかる横河は、フォワードオンリーで攻め続け、SWは自陣ゴール前に押し込まれます。粘るSWでしたが、28分相手モールをこらえ切れずにトライ、ゴールも決まり、5−7とリードを奪われました。
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[津嶋選手] |
それでもディフェンス、とくにタックルで優っていたSW。FL岡崎が相手大型外国人をビシッと止めて、CTB佐々木天晃(たかみつ)が相手攻撃ラインをひっくり返すタックル。そんな中、何度もの必殺タックルで会場を沸かせていたWTB細川が、ついに負傷退場する場面もありましたが、前半29分、相手陣で得たペナルティショットを、軸足に怪我を抱えながらも津嶋が見事に決め、8−7と再びリードします。
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このままリードして折り返すと思われた前半ロスタイム。マイボールラインアウトを確保した、と思ったところを絡まれて、一気に蹴り出されたボールを押さえきれず、最後は相手HOが飛び込んでトライ。ゴールも奪われ、8−14とリードされてのハーフタイムとなりました。
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口惜しい逆転トライを許したものの、わずかにワントライ差。FW、BKとも一歩も引かない互角の攻防を見せ、風上となる後半は十分勝算あり。気温が低く、寒さに震えながらの観戦となったスタンドからも、逆転を信じた熱気が伝わってきます。
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そして始まった後半、疾風怒濤のごとく相手陣に攻め入るSW。鼓動の高鳴るサイド攻撃、ワンパスごとに、緊張の糸の張るライン攻撃。キャプテンCTBアラティニの大きな掛声と体を張ったプレーに率いられ、PR斉藤、HO小野寺、PR長沼が、強力FW陣相手に決して分の良くないスクラムを持ちこたえます。ラインアウトも長身FLスコット・ファーディを軸に、LO柿本が、シニアリーダーLO三浦がボールもぎ取り突破するシーンが続き、テンポのいいSH長田、SO小原のハーフ陣からの多彩な攻撃が繰り広げられ、細川に替わったWTB清水も負けじと、攻守で鋭いプレーを見せます。
スコアの動かない攻防ながら、前半より押し気味に試合を進めており、流れは決して悪くない。何とか一本を、というファンの願いがようやく通じたか、後半26分、攻め込んだラックからの速いテンポの連係で、まさに全員でつないだボールをSW看板ウイング、韋駄天菅野がゴールラインに駆け込みます。スタンドのファンも酔いしれる、流れるようなトライシーン。惜しくも津嶋のゴールはならないものの13−14と、ついに1点差。 |
[菅野選手] |
大きな獲物を目前に捕らえ、そのまま逆転を、と祈る気持ちのスタンドに、捨て身のタックルで応えるSW選手。空気も張り詰めたようなスタジアムで、あと一歩、あとワンパスのスコアチャンスまで、攻め込んでは、ペナルティか、ミスか、ターンオーバーかと、つい出てくる短いため息も、すぐさまかき消すSWの果敢なプレー。否応なしに盛り上がり、逆転の勝利を信じた瞬間、スクラムサイドのふとした間隙をつかれたSW。相手ウイングに切れ込まれて、あろうことかの逃げ切りトライを許してしまいます。それでもゴールが外れてくれて、13−19とワントライ差での残り5分。
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時間の進むことが、則を超えて憎らしくなるくらいの勝利への渇望。SW選手たちのトライに対する気概は最後まで衰えることなく、それでも刻一刻と過ぎていく時。
大きくゲインする小原のタッチキックで、さあ最後のチャンスだ、と思った束の間、なんと予期せぬノーサイドの笛。堪えていた大きな嘆声の起こったスタジアム、大きな勝利に目前まで迫りながら、ワントライ差に泣くこととなりました。
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「いくつかの課題は充分に克服したゲーム内容は評価できる。ただ、惜しい。チャンスを逃がしているのは、ひとつのミスからだ。成長していることは実感できるはず。ここからは落とせない試合が続くことを覚悟してほしい。」
池村HCからのコメントに、痛い連敗にも下を向くことなくやってきた成果は出ていたと確信できた選手たち。逃がした獲物は大きかったとは言え、さらに上に向う実感をつかんだ選手たちの、目の輝きは、追い込まれても曇ることなく、燦然と連なっていました。
次の試合は、盛岡南球技場3連戦の最終戦、10月24日(土)13:00キックオフ、日本IBMビッグブルーとの対戦です。
強豪相手に見せた確かな力。試練の時を乗り越えて、大きな飛躍に希望をつなげる大事な一戦を、ぜひご声援よろしくお願いいたします。
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ファーディー選手 |
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小野寺選手 |
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小原選手と佐々木天晃(たかみつ)選手 |
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アラティニ選手 |
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岡崎選手 |
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佐々木天晃(たかみつ)選手と清水選手 |
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岡崎選手 |
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第4節も沢山の声援・応援有難う御座いました。 |
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