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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 必昇の炎は消えず、実力を勝利で証明!
〜 トップイーストリーグ第五戦 vs日本戦IMBビッグブルー戦 〜
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SWがシーズン中盤戦を迎える10月も半ば過ぎ、岩手県の朝晩はかなり冷え込んで、気温も1桁前半となります。釜石から盛岡に至る100kmの道のりには、紅葉がどんどんと進んだブナ、ナラ、トチノキといった広葉樹林が北上の山々に泰然と構えて、選手たちの健闘に、色鮮やかなエールを送ってくれている様です。
開幕戦を勝利で飾るも、強豪との惜しい試合を、あと一歩で落としてきた3連敗。シーズン3位入りの目標達成にはもはや崖っぷち。力はついたと自他共に実感できるものの、勝たねば何にもならないのが、スポーツの特徴のひとつでもあり、SWに課せられた使命でもあります。
24日(土)、盛岡南公園球技場。岩手での初勝利を信じ、県内外からサポーターが集まった試合には、お馴染みの交通安全のポスター、文化タクシーさんのハイブリッド介護タクシーSWサポート号、応援マスコット「SWナカピー」のトラの着ぐるみが、次々と到着して、選手を、お客さんを鼓舞します。
今か今かとキックオフを待ちながらバックスタンドに大漁旗を携えて陣取った多くのサポーターに加え、選手入場の直前、決死の覚悟のSWに達増岩手県知事もエールを送りに駆けつけて下さいました。
第5戦の相手・日本IBMビッグブルーは、2004年以降、通算4年をトップリーグで戦ってきた強豪。今季からは、会社の方針転換によって社員選手中心のチームとなり、ここまで2勝2敗と苦戦を強いられてはいるものの、厳しい環境に身を置きトップリーグ再昇格という目標に向かうラガーマンとしての意地と気迫、チームとしての団結力は決して侮れません。
厳しい環境に反発し、様々な努力と工夫で、それを逆に力に変えることができるかどうか。地理的条件や、雇用等の生活面で他の首都圏のチームと比して厳しい環境にあるSWと、通ずるところがあるようにも思えます。
トップリーグを目指し、どちらも譲れぬ大一番。SWが、勝利という確かな実力の証を手にすることができるか、真価を問われる決戦をレポートいたします。
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朝からの雲が、時がたつとともかき消され、見事に晴れ渡った盛岡南球技場。微風の中、13:00SWのキックオフでスタート。 |
頼もしく、勢い良く攻め込むSWに、受ける一方となる相手FW。バックスへの展開も、久々先発SH八重樫がリズムを崩さずつなぎます。相手ゴール前まで攻め込みながら、ノットリリース、ノックオン、と反則でチャンスを潰す場面があるも、構わず相手陣内で攻め続け、前半12分、ラインアウトのチャンスを活かしたFW陣が、怒涛のごとく押し込んで、最後はFL、これまた久々先発の佐伯バイスキャプテンが、見事な先制トライ。津嶋のゴールも決まり、7−0と幸先のよいスタートです。
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[佐伯選手] |
このまま圧倒の期待が膨らんだのも束の間。取った後のキックオフ、SWが時折弱点としてしまう瞬間の連携ミスを突かれて一気に押し込まれます。反則から早いリスタート、相手SOのインゴールへのショートパントをそのまま押さえられ、僅か2分で7−5と2点差に。
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[森山選手] |
トライを献上して、もう一度気持ちを入れ直したかに見えるSWは、連続攻撃を仕掛け、この日LOに入ったスコット・ファーディが、続いてFL岡崎がゲイン、次々バックスにボールを供給します。スクラムはこちらも久々先発のPR浅田が、HO小野寺、PR長沼とともに、IBMの強力プロップ陣を相手に奮闘。攻められて苦しい場面も、LO三浦が、No.8馬渕が持ち直してくれます。優勢なFWに、勢いのついたバックスは、SO小原から右に左にCTBピタ・アラティニ、佐々木天晃を軸に多彩な攻撃を繰り出し、バック3はFB津嶋を軸に、スピードスターWTB菅野が魂のタックラーWTB森山が攻守に破壊力と安定感を見せてくれます。
そして29分、オープンへと展開したボールをフィニッシュまで持っていってくれたWTB森山。惜しくも津嶋のゴールは外れたものの、この日、2本目のトライで12−5とリードを広げます。
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35分、ライン突破されたところで犯したペナルティをゴールされて12−8と追い上げられましたが、幾重にも繰り出すアタックに、相手がひるんできたところ、一気の加速を見せたのは、神様仏様アラティニ様。敵ラインアウトのボールをFL佐伯がもぎ取りバックスに展開、CTBアラティニが華麗なステップで3人、4人と相手をかわし、そのまま中央左にトライ。津嶋のゴールも決まり、前半を19−8で折り返しました。
前半は、反則後のタッチキックがインゴールラインを2度割ったり、パスが度々流れたりといったミスがIBMにあったものの、FW戦で優位に立ち、相手陣でのプレーが長く、全体的に危なげない展開。
まずはボーナスポイントのつく4トライ、そしてトライラッシュと、ファンの期待も弥が上にも高まります。
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[アラティニ選手] |
[佐々木天晃(タカミツ)選手 |
しかし、迎えた後半開始から、そうはさせじとトップリーグ実績の誇りにかけてアタックを仕掛けてくるIBMに押し込まれます。トライ直後や、立ち上がりに失点が目立つ今シーズン、嫌な展開でしたが、決定的なチャンスを作らせずにここを乗り切ると、徐々にペースをつかんだSW。後半15分、波状攻撃のFWに、相手の隙をついたHB八重樫からCTB佐々木天晃に、ディフェンスの乱れをついてトライ。値千金の4本目のトライに、難しい位置からの津嶋のゴールも見事に決まり、26−8といけいけムードに。
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リザーブメンバーを2人、また2人と投入したSWの勢いも衰えず、さらにダメ押しを、と思う束の間、チャンスの過剰攻撃が、反対に攻守のシステムを崩したのか、それとも4本目のトライを奪って緩みが生じたか、ターンオーバーから大きくゲインされたり、相手BK陣にリズムが出てきて、流れはIBMへ。後半25分、自陣ゴール前ラインアウトから、最後はゴール前ペナルティを連続でとられ、やらずもがなのペナルティトライを献上。ゴールも決まり、26−15と追い上げられます。
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これで再び目が覚めたか、勝つことは攻撃をスコアに結びつけること、とばかりに、有終のトライを狙いに行くSW。ゴール前ラインアウトのチャンスから、二度三度とモール攻撃を仕掛けますが、相手FWの必死のディフェンスの前に、どうしても追加点を奪えません。
残り10分、FBピーター・ミラーを投入し、アタックチャンスを広げるも、IBMの気迫のこもったプレーに阻まれ、あと一本を追加できず。そのままノーサイドとなりました。
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今シーズン初の勝ち点5の勝利をおさめたSW。
まずは安堵の人心地で、喜びは選手にも、サポーターにも等しくあるものの、虚をつかれての失点や、押し込みながら取りきれなかった場面が多く見られ、反省も残る内容だったことは、試合直後、長く円陣を組んでいた選手一人ひとりが、一番よくわかっているはずです。
「よくやった。今季初先発の選手も、久しぶりのフル出場の選手も、皆よく頑張ったと思う。次が、生きるか死ぬかのビッグチャレンジ。気持ちを、まっさらにして、残る時間の全てをぶつけることを期待する。」
課題は残しながらも勝ちきった試合に、池村HCは、誉める間もなく、次の大一番に向けた態勢を整え始めていました。
次の試合は、福島県いわき市いわきグリーンフィールドで、10月31日(土)12:20キックオフ、NTTコミュニケーションシャイニングアークスとの決戦となります。
SW2009の興廃、この一戦にあり。真骨頂の問われる大一番を迎える選手たちに、熱いご声援をよろしくお願いいたします。
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アラティニ選手 |
岡崎選手と三浦選手 |
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津嶋選手 |
八重樫選手 |
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岡崎選手と八重樫選手 |
菅野選手 |
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馬渕選手 |
ノーサイド |