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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 見る者の心を揺さぶった、乾坤一擲の気迫!
〜 トップイーストリーグ第六戦
vsNTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦 〜
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未来のSWからジャパンまで、国や地域を代表するラガーを育てる岩手県中学校総合体育大会ラグビー競技会が、10月31日から11月2日まで北上総合運動公園で開催されています。今年で26回目となる大会には5年前から地元釜石の甲子中学特設部が参加してぐんぐんと戦績を伸ばしてきました。多い年で参加校が15を超える中総体ラグビー、今年は11校の参加となりましたが、釜石・大平の合同チームも初参戦し、SWのお膝元釜石からジュニアの活力を高めようという気運が興隆を迎えつつあります。
残念ながら初出場の釜石・大平は2敗、甲子は予選で1勝するも決勝トーナメント1回戦で善戦及ばず敗退となりましたが、来る11月7日(土)SW地元公式戦プレマッチとして、中学特設ラグビー部の活動エピローグとなります釜石市内ジュニアエキシビジョンマッチが予定されています。地元の誉れSW公式戦の前座試合として、広く市民の皆さんに釜石のジュニアラグビー奮闘をアピールすることを期待したいと思います。
その釜石中学、甲子中学ともに、折からのインフルエンザ禍で学校閉鎖中。同じく11月7日SW公式戦プレイベントに出演予定だった甲東幼稚園、正福寺幼稚園も1週間の閉園で、練習を重ねてきた踊りや演奏も、残念ながらお披露目なしとなり、公式戦イベント開催は予断を許さない状況です。まずは健康第一、そして市民の安全第一で、クラブも対処して参ります。
そうして市民一丸となって、これまで以上に感染予防策を強めるものの、やにわに拡大したインフルエンザの猛威は、いわき決戦を目前にしたSWにも及びました。キャプテン大黒柱のピタ・アラティニが罹患で欠場、ソニーも倒れ、最後はこともあろうに、出発直前にピーター・ミラーが陽性反応となる始末。
そんな手負いのSWの前に立ちはだかる第6戦の相手は、2004年から5年連続でプレーオフに進出しているNTTコミュニケーションズシャイニングアークス。今季も、豪州代表マーク・ジェラードほか着々と補強を進め、ここまで危なげなく5連勝。貸切バスで続々と詰めかけた応援団も意気揚々、悲願のトップリーグ昇格に向けて視界良好、といったところでしょうか。
イースト屈指の強豪に一泡吹かせん、と全国各地からいわきに集結したSWサポーターも、試合前にインフルエンザによる主力の離脱を聞き及び、SW戦士の奮闘を信じ、期待しながらも、一抹の不安を覚えたことでしょう。
しかし、そんな逆境の中、全国津々浦々の幾千の熱い声援を受け、心を一つにしてフィールドに登場した勇者たち。
そこに繰り広げられたのは、これぞラグビーの醍醐味ともいえる大勝負でした。
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曇り空を追いやる風の中、NTTキックオフでスタート。
向かい風を、あるいは逆境を跳ね返すかのようなSWフォワードの猛襲。みるみる相手陣に攻め込んで、次から次にアタックをしかけます。相手はたじろぎながらの防戦一方ながら、さすがの強豪、一瞬の隙を見逃さずターンオーバーを仕掛けられます。相手ボールとなったラックから、速攻を仕掛けられたSW。左への一気の展開に対応できず、俊足WTB友井川にゴールまで運ばれます。前半5分、先制を許し0−5。
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強力BK陣の力をいきなり見せつけられた立ち上がり。それでも、スクラムで優位に立つSW、FW戦で勝り、1対1で突破を許しても粘り強いディフェンスでビッグゲインを許しません。
CTB細川、CTB佐々木天晃が鋭いタックルで刺さり、No.8馬渕、FL岡崎、FL佐伯のバックローが、SH長田からリードされたパスをもらって、ぐんぐんゲイン。LOスコット・ファーディ、三浦が力強く相手を跳ね除け、SO小原からの巧みなパスで、WTB津嶋、WTB菅野、FB藤原のバックスリーがスピードをつけて走りこみます。SW公式戦初先発を果たした19歳PR佐々木和樹の渾身の当たりに、相手フォワードもたじたじとなるところ、PR斎藤、HO小野寺が輪をかけた突進。
チーム一丸となった奮闘で一進一退の攻防が続いた前半26分、縦への突破からじりじり相手を追い詰め、最後はCTBバイスキャプテンの佐々木天晃が相手ディフェンスのギャップをつき、二人三人とかわして、ピタ・アラティニかと見まがうばかりのトライ。WTB津嶋のゴールも決まり、7−5と逆転に成功します。
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[佐々木天晃選手] |
しかし、直後のキックオフを相手にキャッチされると、立て直す間もなく、密集の真ん中に出来たスペースを相手外国人CTBに抜け出されます。わずか2分で7−12とあっさり再逆転を許してしまうSW。
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[馬渕選手] |
決して流れは悪くない、何とか1本取って終わりたい。そんなファンの想いを乗せ、アグレッシブに試合を展開するSW。嫌がる相手に、二の矢、三の矢、と連続攻撃の嵐を浴びせます。そうして迎えた前半ロスタイム、モールでゴール前まで押し込むと、反則で得たスクラムから、No.8馬渕がサイドアタックから値千金のトライ。津嶋のゴールも決まって14−12、いい形で前半を終えました。
強豪相手に2点リードしての折り返し。SW戦士の善戦に胸を躍らせ、一様に笑顔を見せるサポーター、いつも以上に高らかなSW応援歌が、いわきの空に響きました。
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後半は風上でもあり、相手陣でリードを広げていく展開に持ち込みたいところ、手負いのCTB細川、SH長田をWTB清水、SH八重樫に入れ替え、気合いを入れ直して挑むSW。
対するNTTも、後半開始からジェラードをFBに投入。前半以上の気迫で臨み、巻き返しを図ります。それに対し、自陣での攻防が多いながらも、前半と変わらず優位に立つフォワードと、出足鋭いタックルで攻撃を封じるSW。
じりじりとした時間が過ぎた後半15分、反則から無念のPGを決められて、ついに14−15と追いかける展開になると、さらに23分、敵陣からBKの突破で一気にゲインされると、自陣22m付近のラックから左に展開され、前半と同じようなシーンでまたも友井川にトライを奪われます。14−20。
それでも諦めるという言葉を知らない、無我夢中のSW。FWを束ねるNo.8馬渕の「釜石ここから!」の檄に、スタンドから「そうだ!ここからだ!」と大きな声援が飛び、グラウンド、スタンドが一体となっての猛攻。負傷の佐々木和樹に替わったPR浅田もスクラムで奮闘、FL江幡、LO柿本も直向なプレーでSWの優位を固持します。
今度こそ今度こそと、喚声高まるスタンドに応えるかのようなガッツ溢れるプレーが続くも、攻め込んでの津嶋のPGが外れるなど、スコアまでもう一歩届かない時間帯で、次のチャンスを活かしたのはNTTでした。相手SOが自陣深くまで蹴り込んだボールを押さえきれなかったところを、追ってきた相手WTBがそのまま持ち込み、痛恨のトライ。後半32分のこらえどころの追加点を許し、14−25。
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[小野寺選手] |
1トライで追いつけないところまで離され、このまま崩れるかという邪念を振り払ってくれたのは、この日絶好調のSWフォワードの凄まじい出足。モールがずんずん前に進んで、まだいくか、まだいくか、押しも押したり、とりもとったりのドライビングモール。スタンドからのカマイシコールに乗って、HO小野寺が見事にトライを挙げました。津嶋の難しいゴールも決まり、38分で21−25と僅か4点差に追い詰めます。
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勢いは完全にSW。しかし、焦る相手にターンオーバーを仕掛けたところ、それが仇になり、PGを許して、ロスタイム残り3分で21−28。
このままでも勝ち点1、トライを挙げれば引き分けボーナスで勝ち点3、そんな思惑とは裏腹に、時間を預けて、渾身のアタックを見せ続けるSW。惜しいところでオフロードパスがつながらず、ほぞを噛みながらも、SWの衰えぬ鋭いタックルから、また巡ってくるチャンスに、気持ちも極まり、駆け巡る期待の血潮で熱くなるスタンドのサポーター。
惜しくも相手に出たボールを、自陣深くタッチに逃げられるところ、バックアップのSW選手にも血潮が駆け巡ったか、どうしても切りたくないとボールを中に戻したところ、走りこんできたのはまたしてもWTB友井川。逃がさず拾い上げ、そのまま逃げ切りのトライを奪われて、21−33。
大一番は、無念のノーサイドとなりました。
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「勝てなかった結果となったが、苦しい状況にあって、お前たちが身を挺して示してくれたこと、自分たちの力を信じること、強さを証明することには、充分な成果があったナイスゲームだったと思う。
でも、これで終わったと思うな。シーズン最後の最後まで、自分を信じて、チームを信じて、やり抜く強さを証明するんだ。」
最後まで諦めなかった勇敢なSW選手たちに、池村HCもビッグチャンスを逃がした口惜しさを封じたコメントで鼓舞しました。
結果はゼロッサムとなり、勝ち点は挙げられなかったものの、サポーターの心に響く気迫、闘う姿を見せてくれた選手たち。インフルエンザという思わぬ敵とも戦いながら、強豪相手に誇示した力は、これからの大きな飛躍を予想させるに余りあるものでした。
次の試合は地元釜石の松倉グランドで、11月7日(土)13:00キックオフ、日本航空JALウイングスとの一戦です。
苦境にあるチームといえども、この数年、僅差で勝敗を分けている相手。
SWが、艱難を克服し、強さを証明するゲームを期して、熱き声援をよろしくお願いいたします。
なおかつ、市民の健康、安全確保を第一にして、地元開催を盛り上げたいと存じます。
ご理解ご協力の程を、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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