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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 夢か現か・・・悪夢のようなドローゲーム
〜 トップイーストリーグ第10戦 vs栗田工業戦 〜
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SW2009も残すところあと2戦。今秋、新装オープンなったケーズデンキスタジアム水戸でラス前の対戦を迎えた13日、雨上がりの晴天の下、久々の首都圏での試合とあって、早い時間からサポーターの皆さんが集結してくださいました。
目指すは完膚なきまでの勝利ではありますが、今回の相手は栗田工業。リーグ戦では、昨年勝利するまで3連敗を喫しており、今年も夏の強化試合で苦杯を嘗めています。現在8位と昇格の目は消えていますが、これから下位チームとの対戦を残しており、ひとつでも上の順位を窺わんとする昇り調子の難敵と言えます。
前日に遡って12日、水戸から近い龍ヶ崎市、流通経済大学ラグビーグランドで、SWBチームと流経大との練習試合が行われました。Bチームとしては先の釜石公式戦前座でのオール秋田との試合に続くシーズン2試合目であり、若手にとっては今季の成果をアピールできる好機でもあります。高橋GM、池村HCも見守る中、ケガで試合出場できない馬渕副将も応援に駆けつけ、皆で勇んだキックオフでしたが、血気に勝る流経大メンバーに終始押され気味の展開。前半最後と後半の序盤には主導権を奪還したものの、最後は相手の勢いが勝り、トライ数3本対5本で敗れました。
Bメンバーは14名、HOに盛岡大学4年の齋藤くんが参加してくれて、バス6時間の移動を敢行した後の試合。コンディションが難しい中、敗れはしたものの、プレーの一つ一つを反芻し、確かな力としてくれることを期待できる内容でもあり、貴重な強化試合となりました。
そんなBメンバーもサポーターの皆さんと一緒にスタジアムに駆けつけた大一番。アイリスオーヤマ樺供の必勝カイロを手に、チタカ・インターナショナル・フーズ樺供のより取り見取りの「なめらかプリン」をおいしくいただいて、さあ、決戦のときは来たとばかりに大漁旗の舞うスタンド。
チームの成長を示すため、ひとつでも上を目指すために難敵を圧倒してほしい、サポーターの想いを乗せた重要な一戦をレポートします。
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快晴、時折強い向かい風の中、栗田キックオフでスタート。
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熱気が伝わるようながっぷり四つの立ち上がり、スタート攻勢をかけた栗田がペナルティゴールを狙うも外れる中、両者譲らず、陣地を移し、攻守を代えながらの試合展開。スコアレスのまま前半も半ばを過ぎた22分、相手WTBに痛恨のキックチャージをくらって押さえ込まれ、先制トライを許してしまいます。0−5。
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リードを許す展開となったものの、地元茨城での初試合となるPR浅田、初スタメンHO渡邊、ルーキーPR佐々木和樹がフロントをしっかり組み、LO三浦、柿本がずっしりと押すスクラムはしっかり安定、FL佐伯、岡崎は攻守に渡り出足好調、No.8には馬渕の穴を埋めるスコット・ファーディが引っ張るラインアウトも優勢に立つ状況から、ゲーム展開を有利に進めます。
35分には今季の得意パターンとなったラインアウトモールからHO渡邊がトライ。FB津嶋のゴールも決まり7−5と逆転します。
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[モールからトライへ] |
[津嶋選手] |
これで勢いに乗ったSWは、38分にも津嶋のペナルティゴールで追加点を挙げ10−5。
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しかし、このままリードして終わりたい前半終了間際、反則からやらなくてもいいペナルティゴールを許してしまい、10−8と迫られたところでハーフタイムとなりました。
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風上となり、ラッシュを期待したい後半。SWは安定したセットを起点として波状攻撃で攻勢をかけます。11分、モールからサイドへ、ラックからバックスに展開。SH長田、SO小原、FB津嶋とつなぎディフェンスを突破。フィニッシュはWTB佐々木永一が左隅にトライ。ゴールはならないものの、15−8と後半先手を奪います。
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[佐々木永一選手] |
[菅野選手] |
なおも相手を休ませることなく攻め続けるSW。アラティニ、佐々木天晃の両CTBががんがんアタックを仕掛けると、栗田はたまらず外国人選手含めてメンバーを交代し、なんとか攻勢に転じようとするも、SWの勢いはおさまりません。
18分、津嶋のペナルティゴールが成功し18−8となったところで、アラティニ、佐々木永一をミラー、細川にスイッチ。
26分には交替したミラーのカウンターから大外に展開、フォワード、バックスが一体となった攻撃で、最後はWTB菅野がトライし、25−8。
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見事なアタックで相手を大きく引き離したSWは、それでも攻撃を休めることなく、ミラーのショートパント、ファーディのサイド攻撃など、すんでのところでトライか、と唸る場面の連続。見守るファンも、ボーナスポイントが追加となるもうワントライを期待した声援で、選手を後押しします。
後半30分を過ぎ、残り時間を意識しながら試合を進める場面。2トライ2ゴールでも追いつかれない点数でもあり、試合展開からも、選手のどこかにこのままやっていれば大丈夫、という意識が生じてしまったか。一瞬の隙が、大きな落とし穴となりました。
得意のラインアウトモールで攻撃し続けるSWに、外国人選手含め、最後まで勝利のために必死で挑んでくる栗田がモールの中に割って入って、あろうことかボールをもぎ取り、そのままアタック。手薄になっていたバックスディフェンスの虚をついたカウンターアタックをつながれて、ようやく停めたゴール前ラックで反則をとられ、2度、3度と後ろに下げられます。SWが処する間もないところ、栗田はPからGOの速攻で仕掛けてトライをもぎ取られる始末。後半36分、25−15。
不意をつかれて追い上げられたSW。それでもまだ10点差、落ち着いて、集中して臨めば問題はありません。それぞれの役割と落ち着きを確認してキックオフとなりますが、カウンターからたたみかけようとする栗田。何とかタックルで防ぐも、次の反則で、後退、また後退。PR浅田がシンビンとなって数的不利も加わり、最後はまたもやPからGOでそのままトライ。25−20と、トライゴールで逆転可能なところまで迫られます。
相手の勢いに飲まれ、まるで魔法の罠にかかったかのように連続トライを許してしまうSW。試合中の苦しいときにこそ、全員で結束し、互いに鼓舞することで流れを修正すべきところ、肝心の選手は魔法にかかったままか声も出ず、響くのはスタンドからのサポーターの必死の叫びのみ。
コンバージョンもそこそこにSWのキックオフを待ち構える栗田に、相手を焦らすこともせず、そのままキックオフ。一気呵成に逆転を狙う栗田のカウンターキックは、思うがままのイレギュラーバウンドで栗田選手の手に。SWは絡んでは反則、ボールを奪ってはノッコン、こともあろうかカウンターからつながれて、最後はゴール角に、タックルに飛び込んだミラーとともになだれ込んでのトライ。これで25−25。
3年前の釜利谷を思い起こさせるような同点劇。運命のゴールは相手の焦りもあって外れたものの、負けに等しいドローゲームでノーサイドとなりました。
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栗田は勝ち点3、SWは勝ち点わずかに2。魔法に麻痺したラスト10分、夢か現か、意気消沈の選手たちに、サポーターもかける言葉を見失う状況。
SWは確かに強くなった。それでも、思うように成績につながらないパラドックスに、目指す強さの到達地点には届いてない現実を突きつけられた、白日夢のような一戦でした。
「苦しいときに、どうやって乗り切るか。その課題を突きつけられているのだと思ってくれ。10日後にベストゲームをやること、それができる事で、一年の真価が問われることを覚悟してほしい。」
言葉少なく感じられる池村HCのコメントが、かえってナイフのように突き刺さる選手たちは、恥辱に等しい引き分けをも、自分たちの糧にして成長する逞しさを、応援するサポーター、支えてくれる周囲の皆さんが自ずと期待していることを、いやと言うほどわかっています。
そんな選手たちが、きっと苦境を克服し、最終戦で真の実力を披露してくれることを確信しているサポーターは、秩父宮での再会を期してスタジアムを後にしました。
次はとうとう最終節、12月23日(祝水)秩父宮ラグビー場14:00キックオフ、サントリーフーズサンデルフィスとの本年締めくくりの試合です。
トップリーグ昇格は至らずとも、シーズン大団円の大舞台で、SWの逞しさを、強さを見せつけてくれることを期して、熱烈応援の程をよろしくお願いいたします。
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[ケーズデンキスタジアム] |
[歓迎セレモニー] |
[長田選手] |
[ファーディ選手] |
[佐々木和樹選手] |
[アラティニ選手] |
[小原選手] |
[津嶋選手] |
[浅田選手] |
[岡崎選手] |
「佐伯選手] |
[アラティニ選手] |
[津嶋選手] |
「ファーディ選手] |
[佐々木天晃選手] |
[ミラー選手] |
[柿本選手] |
[佐々木天晃選手] |
[津嶋選手] |
[ファーディ選手] |
[ファーディ選手、三浦選手、佐伯選手] |
[津嶋選手] |
[三浦選手] |
[応援有難う御座いました] |