【公式記録】 |
◇公式記録(今回はありません) |
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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 不倶戴天のライバルを、オープン戦から封じ込め!
〜 釜石シーウェイブスいわき遠征ダブルヘッダー強化試合 vs東京ガス戦 〜 |
いよいよ日本列島が入梅した週末、各地の豪雨に見舞われた方々にお見舞いを申し上げます。こちら、東北釜石では梅雨になっても、ややどんよりとするだけで、雨は降ったり止んだりで、小学校のプールでは子どもたちの楽しそうな叫び声も聞こえます。
岩手のラグビーでは、20日(日)、翌週の県民体育大会開催を控える八幡平で、イーハトーブリーグ第4節の、SWBを除く4チーム雌雄決戦が行われました。悲願のイーハトーブ優勝を達成した北上矢巾ブレイズや、敗れたものの東日本クラブ選手権でリベンジを誓う紫波オックス、2年連続東北クラブ優勝を目指す奥州アテルイに、今年コンバインドデビューながら、チャレンジ精神を発揮して奥州を脅かした盛岡滝沢と、4チームともに、俄然、元気溌剌なプレーをみせていました。国体出場をかけるオール岩手監督のSW桜庭TDも見守る中、イーハトーブリーグは、いわき遠征中のシンボルチームSWとともに、岩手ラグビー再興に果たす役割を自覚して、2016年岩手国体をメルクマールとし、共創の理念のもとで意欲的な取り組みを続けています。次節は7月10日紫波町フェスティバルでSWBと紫波オックスが対戦し春季リーグを終了します。
さて、われらがSWは、18日(金)17:00松倉発の強行軍でいわき入り、19日(土)に東京ガスとのA,Bのダブルヘッダー強化試合に挑みました。
イーストリーグがスタートした2003年以降、通算2勝5敗と、どうにも相性の悪い東京ガスとは、残り10分で21点差をひっくり返されたり、トップ3入りの夢を打ち砕かれたりと、近年の苦い記憶が思い出されるところ。
帝京・慶應という大学ラグビー界の雄と、同じイーストの秋田NBを撃破し、さらに王者・三洋電機に肉薄するなど、オープン戦で確かな成長の証を見せているSWにとって、現在の力量を推し量り、万全の備えとするためには格好の相手であり、また、来る本番に備えて、相性の悪さを払拭すべく今のうちから叩いておきたい相手でもあります。
イースト開始以来の積年のライバルに対し、SWがどのような戦いを見せてくれるか。全国のサポーターが、秋の前哨戦として大きな期待と関心を寄せる試合をレポートします。 |
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Bチームの勝利を受けて挑んだAチームの試合は15:00、SWキックオフからFL佐伯の突進がさえ、マイボールとしたまま相手陣に深くに突き刺さります。FL岡崎、No須田が威力のある突破を見せれば、それに負けじと、機動力なら任せろとLOルイラター、三浦がぐいぐい押し進みます。フォワードの勢いそのままに、バックスもSH長田、SO小原から、CTBアラティニ、ニールソン、WTB佐々木天晃、菅野へと渡るオープンへの展開が冴えます。右に左にワイドに展開し、フィニッシュはWTB菅野のコーナーポストへの駆け込みで先制トライ。ゴールはならなかったものの前半15分で5-0。洗礼を浴びせる先制トライです。
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[菅野選手] |
[ミラー選手からアラティニ選手へ]
[アラティニ選手] |
とまらぬSWは相手キックオフをものにすると、フォワード、バックスの連続攻撃を繰り広げます。ようやく止めた相手ディフェンスに阻まれて、ターンオーバーされても、鉄壁ともみえるSWディフェンスが、相手にゲインライン突破を許しません。攻撃に困窮したあげくの相手のキックも、FBミラーにかかるとカウンターから、いとも簡単に元の位置に戻され、ややもするとさらにゲインしている有様。順調に強化された10周年SWに、頼もしさも感じる応援の皆さんの声援も響きます。
ただ、唯一、劣勢に立たされたのがスクラムで、PR浅田、佐々木和樹、HO小野寺の第一列は機動力は十二分で、スクラムでも呼吸よく押せるシーンもありましたが、相手に無理やり回されて、ターンオーバーとなる場面もあり、まだまだ工夫の仕様もあるような強化のポイントです。
LOもバックローも一体になって持ちこたえるスクラムでしのぐSW。自陣ゴール前5mのスクラムも耐えて、相手アタックを上と下から二人ががりで仕留める必殺ハンマーディフェンスが功を奏し、ターンオーバーしたボールを韋駄天WTB菅野が持って、走るわ、走るわ、それにSH長田がフォローして、またまた、走るわ、走るわ、とビッグゲインを見せる場面もあり、攻め込まれての相手バックスの攻撃も、CTBニールソン武蓮傳の出足鋭いディフェンスで、パスミスを誘いスローフォワードにしてしまう場面もあり、スクラムの劣勢をカバーして余りあるSWです。
その自陣22mスクラムからSO小原のロングキックで、カウンターに出た相手バックスを、FBミラーが目の覚めるようなタックルで、あびせ倒し。倒された勢いで、ポーンとはじけとんだボールを、なんとタックルしたミラー自らが拾い、フォローは逃さないアラティニにパス。神様、仏様、アラティニ様が相手ディフェンダーを引きずりながらゴールラインに飛び込んでトライ。前半32分の息をつかせぬ攻撃は、ピンチをチャンスに代えてスコアしてしまう見事な出来栄えで、ゴールもミラーが決めて12-0とリードを広げます。
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その後の相手キックオフはタッチを割り、SWは自陣ラインアウトからモールをつくりハイパント攻撃。惜しくも相手に渡ったものの、相手スタンドのロングキックはミラーにとってはイージーな転がりで、ドロップアウトからのカウンターを期待するところでしたが、なんとゴールラインをまたいだミラーのグランディングが自分でインゴールに持ち込んだと判定され、自陣ゴール前5mで相手スクラムとなるキャリーバックを宣告されました。これにはミラーも憤慨するものの、ジャッジは覆らず、相手には格好のチャンスとなってしまいます。
相手スクラムからサイドを攻撃され、ラックからオープンに。万事急須のトライ献上かと見るもの全てが諦めつついるところ、SWディフェンスは、外も内もきっちり押さえ込んで、苦し紛れの相手バックスのパスが乱れたところをアラティニが絶妙にピックアップし、怒れる守護神にもみえるミラーにつなぎます。判定への不服が、ランにスピードを増したかのように、大きなスワーブから一人二人ひらひらかわして、アラティニにつなぎ、そこにフォローしてきたLO三浦が、ハイレベルのテクニックを要するディフェンスを引き付けた振り向きざまのパスで、最後はまたまたミラーにつないでトライ。これには応援席も、やんやの大拍手。ストレスフルな気持ちを、正当なベストプレーに持ちかえるミラーの度量に、大漁旗も喝采し、はたはたと翻ります。ゴールも決めたミラーの意地が通じたような100mランのトライで、19-0とさらにリードします。 |
[ミラー選手] |
なんとか立て直して、反撃に出る東京ガスの攻撃を、またもゴール前で止めきるSW。前半終了間際のチャンスに、追加点がほしいところ、アタックチャンスでワイドにボールが渡ったのですが、惜しい連係ミスでハーフタイムとなりました。
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[小野寺選手(左)、ルイラタ選手(中央)、神田選手(右)] |
後半、相手がキックオフを蹴りこんできところ、チャレンジのカウンターをしかけるSW。ですが、優勢にやや油断もあったか、キック、パスともに、あと一つがつながらず、反対に自陣ゴール前に攻め込まれるシーンもちらほらと。なんとか凌いで、落ち着きと、まとまりを取り戻したSWフォワードが、激しさもひとしおに、ハーフウエイからのドライビングモールで10m、20mとずんずん前進します。
幾度となく相手ゴールラインを脅かす中、ラインアウトからモールを押し込み、LOルイラターがトライ。小原のゴールも決まり後半20分で26-0と4トライ目。
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首尾は上々のSW、フォワードもバックスも、アタックにディフェンスに冴えわたり、またも相手キックオフをものにして、連続攻撃をしかけます。チャンスに乗じてラインアウトモールを2回、3回と繰り出し、果ては、この日、2本目となるルイラターのトライ。ゴールは逃すものの後半26分で31-0と大量リードとなります。
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[ルイラタ選手] |
このままの調子でいきたかったSWですが、後半30分を過ぎた魔のさす時間帯に、パスミスでラインが裏返ったところに走りこまれトライを許して、31-5。さらに、立て続けにパスミスからキックにつなげられてトライを許す不味い展開。31-10。
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[長田選手] |
勝負の大勢には影響がないものの、なんとも嫌な感じの残りそうな被連続トライでしたが、調子に乗って自陣深くからバックスに回してきた相手に、SWディフェンスがきっちり対応し、勢いの衰えることないCTBニールソン武蓮傳のタックルが炸裂。それが相手の反則を誘い、ペナルティを得たSW。その瞬間、ほんの少しの相手の隙を、勝負師SH長田が見逃さず、速攻をしかけて中央にトライ。長田自身でゴールも決めて、38-10となったところでノーサイドとなりました。
連続3トライを浴びたころのわれわれとは違いますよ、成長しましたよ、というところを見せ付けて、溜飲の下がる小気味いい終わり方のSWでした。 |
“今の段階では、相手は単調な攻め方だけど、シーズンで対戦するのは最終の局面。その頃に、向こうは違ったチームになっている。そして我々も、今より2段も3段もレベルアップしたチームになって、必ず勝てるよう、これからもっと上げていこう”
池村HCは、相対的な勝ちに満足することなく、自分たちのレベルを上げることに注力するよう指示を出してくれましたが、それに充分応え、必ずこなしていけるぞという勢いのSWの面々。
もっと強くなって、イーストで向かうところ敵無しになってもらいたい気持ちが山々のサポーターも、来るシーズンに向けたチャレンジ精神あふれる、高みを目指したレベルアップを期待して、大健闘のA,B両方のSW選手たちに拍手と歓声を浴びせていました。
SWの7月の試合はBチームの2試合。そして、八幡平のサマーキャンプを経て、8月プレシーズンマッチに挑みます。
折からSW10周年記念試合と位置づけられた8月プレシーズンの2ゲームで、大いに成長の証を示してもらって、その勢いでシーズンに突入することを祈る応援団に見送られて、意気揚々といわきを引き揚げたSWでした。
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