【公式記録】 |
◇公式記録 |
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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 体感したトップリーグの厳しさに、乗り越えるべき壁の高さを知る
〜 強化試合 vsリコーブラックラムズ戦 〜
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いつもこの時期、釜石では、足早な夏が物寂しい終わりを迎え、ラグビーシーズンを告げに、涼やかな秋が到来するのですが、今年はいつまでも過ぎ去らぬ夏が、この北の大地にも居残って、プレシーズン最終戦を迎えた28日(土)も、炎天下、蒸し暑さの中の試合となりました。
さかのぼること1週間前、8月20日(金)から22日(日)、同じ松倉を会場として、国民体育大会東北地区予選のラグビー競技会、成年の部が開催されました。
連日の酷暑ながらも、見事なチームワークで大会運営した釜石市ラグビー協会ほか関係者の活躍もさりながら、目立ったのは、8年の間、本国体出場を逸しつつ、2016年の岩手国体に向けた強化を始動した地元岩手代表成年チームの大躍進でした。
SWBメンバーを中心に、一部主力も入りながら、さらにイーハトーブから選考されたメンバーを加えたオーダーで挑んだオール岩手でしたが、結果は見事に、青森を75−14で下し、さらに秋田NBの選手で固める昨年の出場県・秋田を40−18で撃破。週をまたいで秋田で開催された北海道との本国体出場決定戦では、60−7と大差をつけ、見事本大会出場権を獲得しました。
監督としてオール岩手を率いるSW桜庭チームディレクターは、まだまだ甘いプレーがあると厳しい評価ですが、8年ぶりの成年オール岩手の本国体出場という成果は、シーズン直前のSWにとっても幸先のいいニュースとなりました。
岩手ラグビーの再興の兆しは、トップチームのSWのプレシーズンの好調ぶりからもうかがえます。ここまで王者・三洋電機ワイルドナイツとの7点僅差の1敗以外、なんと負け知らず。10周年記念シーズンを控え、申し分ない仕上がりの様子に、サポーターの期待もいやが上にも盛り上がります。
そんなSWが、プレシーズンマッチ最終戦で迎える相手は、トップリーグでも確固たる地位を築いている古豪、リコーブラックラムズ。今季はトップリーグ最多となる17人もの新規加入選手を揃え、春季オープン戦も全勝と、その強化、充実ぶりは疑いないところ。今回は、リーグ開幕を翌週に控え、ベストと言えるメンバーを擁しての来釜となりました。
我らがSWにとって、ここまで強化を積み重ねた集大成の意味でも、目指すべきトップリーグの実力を体感する意味でも、願ってもない対戦相手。10周年の記念に、わざわざ釜石まで来てくれた心意気にも感謝しつつ、ここはひとつ、一泡吹かせて、成長した釜石の姿を印象付けたいところ。
互いに開幕を目前に控えたガチンコ勝負、かんかん照りの中、手に手に10周年記念マフラータオルをもって集まった1000人に上るサポーターに見守られた、大事な10周年記念プレシーズンマッチ第2戦をレポートします。 |
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猛暑ながらも、海からの風が吹いてきて、見ている分には、なんとか凌げる暑さながら、選手には酷な気候コンディションの松倉グランドで、13:00、リコーのキックオフでスタート。
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今季SWが春から見せていたキックオフラッシュを期待した矢先、LO三浦健が音も凄まじい顔面クラッシュで負傷退場。さすがにトップリーグの本気、あな恐ろし、と思った観客の気持がSWに乗り移ったか、はたまたリコーへのカンフル剤となったか、苛烈なラッシュを受け続ける立ち上がりとなりました。
それでも、2度3度と攻撃をくらっても、何とか持ちこたえるSWは、FLスコット・ファーディ、岡崎、No.8須田と、好調のプレシーズンに間違いはないディフェンスの厳しさで、容易にゲインは切らせません。
しかし、厳しいディフェンスにも構わずこれでもかと容赦なく攻め立て、タックル後のラックでも、4、5人で息を合わせてスピード付けて、ずんずんとオーバーしてくるリコー。ついにSW防御網が崩れたところを相手大型FWに突破され、前半13分に先制トライを許してしまいます。0−7。
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[岡崎 英二選手] |
[P.MILLER選手] |
そんなことはない、まだこれからと信じるSWは、相手のミスキックに乗じてFBミラー、WTB津嶋が敵陣に乗り込み、LOルイラタ、と急遽LOで出場の馬淵が勢い込んでアタックに転じます。PR斉藤、佐々木和樹も果敢にゲインする見せ場をつくり、SH長田の素早い球さばきにSO小原、CTBアラティニ、森山のラインが動き、WTB菅野へ。
FW、BK一体となって、相手を追い詰めるSWの攻撃でしたが、プレッシャーをかけ続けるリコーの前に、すんでのところのミスや反則でスコアを逸します。
と、今度はSWのミスに乗じたリコーがすぐさま攻撃をしかけて陣地を挽回。そこから俊足WTBの3次攻撃でのライン参加に突破され前半27分、さらにスコアを許します。0−12。
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それもSWはひるまずに、徐々に敵陣に攻め込み、いい形で展開をはかりますが、あと一歩のところで相手にからまれての反則をとられ押し戻されるパターンが何度か繰り返されます。
何とか前半で一矢むくいたいSWは、キックパスでスコアを狙いますが、そこを相手に見て取られ、逆にカウンターから綺麗にキックパスを決められて一気にゴール前へ。そのまま走り込まれ、さらにスコアを許しています。前半42分に0−19となり、ハーフタイムを迎えました。
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さすがトップリーグで戦うチーム、しかしまだまだこれから、今年の釜石は違う。そう信じるサポーターの声援と、SW応援歌を力に変えて、気持ちを切り替えて挑んだ後半。風が逆になり今度はSWがミスキックをしてしまうところ、チャンスを逃さずリコーが猛攻。ハーフウェーライン付近から巨漢LOの独走を許すと、ゴール前のディフェンスも及ばず、リスタート後2分で追加点を献上してしまいます。0−24。
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じりじりと離される展開に、暑さも手伝って、フラストレーションのたまった観客から、久しくなかった野次も飛ぶ始末。そんな悪い空気を一変させるようなアタックを見せてほしい・・・と、祈るサポーターの思いが通じたかのように、チャンスのラインアウトから、もはやお馴染みの得点パターンとなった必殺のモールが炸裂。息の合ったFWが前進、また前進で、最後はHO小野寺がトライ。惜しくもゴールはなりませんが、後半15分、5−24と反撃の狼煙を上げます。
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[モール押し込んでトライ 小野寺 政人選手] |
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[佐伯 悠選手] |
1本取れば流れが変わる、そう信じていたサポーターも、これでいけるとばかりに更なる声援で後押し。それに応えるかのように、タックルを繰り返し、アタックを仕掛けるSW。しかし、それを跳ね返し、これがトップリーグの実力だ、と言わんばかりにパワーとスピードで押してくるリコー。FBミラーが、真骨頂のカウンターでロングゲインを見せるも、その突破を阻止したばかりか、ターンオーバーしてカウンターを仕掛けられるところ、後半から出場のPR神田、FL佐伯が身体を投げうって防ぐなど、まさに一進一退の場面が続きます。しかし、FW優位と見たか、それともSWモールトライがリコーに火をつけたか、このあたりからモールを多用し始めるリコーに、SW必死のディフェンスもこらえきれず、後半31分、リコーラインアウトからお返しのモールトライを奪われ、5−29。
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さらにたたみかけるリコーフォワードのモール攻撃に、防御一方となるSWは、FLファーディが反則退場の宣告を受けます。先に三浦健を戻していたSWは、練習試合のシンビン回避で、馬淵も戻しましたが、どうにもリコーの攻撃を止められず後半38分にトライ、ゴールを許してしまいます。5−36。
PR浅田、吉田も投入し、何とかスコアして終わりたいSWは、次々に攻撃を仕掛けますが、ついに相手ゴールには届かず、逆にブレイクダウンの激しい攻防からボールを奪われて左に展開されると、防御の隙をついた快速WTBにダメ押しの独走トライをくらい、5−41。悔しいノーサイドとなりました。
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[吉田 竜二選手] |
「ミスがトライを許してしまうこと、逆にミスがトライを逃すこと、その厳しさが体感できたことを貴重だと思って欲しい。」
自分たちの不甲斐なさに、憤まんやる方ないような選手たちに、池村HCは、むしろ冷静に、今、壁を越えようとしているSWに必要なことを伝えました。
地元をはじめ、たくさんの応援、支援に応えたい、SW10周年の盛り上がりに、何とか成果を出したい、長く目標だったトップリーグに昇りつめたい。そんな気持ちで溢れている選手たちに、レベル差を突きつけたような厳しい結果でもあり、今季こそ、という期待を大いに込めたサポーターにも、ショックを隠せないゲーム内容ではありましたが、何度もチャンスを作った局面での優位さはあり、今日体感した厳しさが、必ず来るシーズンでのトライラッシュにつながるものと確信しています。
いよいよ9月12日から、長く、そして厳しいシーズンがスタートします。
期待は申し分なく、これからもっと飛躍を遂げてほしいと願うのは、サポーター皆さんの思いであり、念願を成就したい選手たちの熱い思いも、十二分に伝わってきます。
果敢な挑戦、高みにかけて、勝負に挑むSWに、皆さん一致団結の掛け声で、トップリーグの頂へと押し上げていただきますよう、どうぞよろしくお願いします。 |
[スクラム] |
[森山 裕樹選手] |
[佐々木 和樹選手] |
[須田 康夫選手] |
[S.FARDY選手] |
[津嶋 俊一選手] |
[応援団への挨拶] |
[応援団の皆さん] |
[池村HC] |
[P.ALATINIキャプテン] |
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