【公式記録】 |
◇公式記録(岩手県ラグビー協会HP)
|
|
【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 地元で感じた強豪の鼓舞と支援の輪・・・感謝を胸に、ひたむきに前へ!
〜 釜石ラグビッグドリーム vsヤマハ発動機ジュビロ戦 〜
|
|
東日本大震災で壊滅的なダメージを受けた沿岸被災地では、それぞれの立場で、困難な状況を乗り越えようと多くの方々が日々奮闘されています。
そんな中でも、多くの方々に支えられて開催されることとなった、釜石ホームゲームの再開となる「釜石ラグビッグドリーム2011」。自分たちの闘う姿が、少しでも復興の機運を高めるきっかけになることを願って挑む釜石SWの再起と、被災地の復興支援の一助になればと手を挙げてくれたのは、トップリーグのヤマハ発動機ジュビロ。静岡県磐田市を通じて、電動アシスト自転車PAL30台を持参し、自費遠征でかけつけてくれました。ヤマハ発動機ジュビロのラグビースピリットあふれる連帯の気持ちに、しっかりと報いるためにも、我らがSWには、元気に直向きに、チャレンジしてほしいところです。
そして、この復興祈願のイベントを盛り上げ、来場いただいた皆さんに元気を、笑顔を届けようと、会場には所狭しと復興支援の出店が繰り広げられました。
赤に黄色に、色とりどりのエプロンの出店を順にご紹介させていただきますと、
お馴染みSWスポンサーのチタカ・インターナショナル・フーズ蒲lより「なめらかプリン」2000個。“スクラム釜石”松尾雄治キャプテン紹介、葛g野家ホールディングス様より「“さらなる、うまさへ”吉野家牛丼」1000食。宮古ヤクルト販売滑石支店より「“腸トレはかんたん!!しかもおいしい!”ヤクルト400LT」1000本。MLA豪州食肉家畜生産者事業団様『いっしょにがんばろう、日本』プロジェクトより、快適生活研究家・田中ケン氏オリジナル「オージー・ビーフのステーキサンド」400食。震災救援にフランスの衣料有名ブランドのラグビー仲間から届けられた新品衣類を釜石青年会議所の皆さんがデリバリーする「フレンチバザール」1000着。茶道裏千家淡交会岩手支部不来方青年部より、日本の文化でおもてなしの一服「お抹茶野点(のだて)サービス」。ホッズHCの奥様であるクレスタ・ホッダーさんと、アラティニ選手の奥様であるミーガン・アラティニさんを中心とした女性グループより、吉永小百合さんが自筆の応援メッセージを載せてつくってくださった“がんばろう!釜石”Tシャツが子どもたちと女性にプレゼントされたほか、SW応援ボディプリントにかわいい髪飾りもほどこされました。
これらすべてが、震災復興を支援する無料のサービスイベント。会場は、わいわいと賑々しくも、お年寄り、女性、子どもさんを優先して譲り合う姿も見られて、活気と、感謝と、助け合いの気持ちがそこかしこに溢れていました。
さらに、SWの完全復興を支援しようと立ちあがってくださった“スクラム釜石”から、松尾雄治キャプテン、石山次郎代表はじめ、高橋博行さん、角日出夫さん、金野年明さんとV7豪華メンバーも続々集結。メインスタンド前では、ご存じ新日鐵釜石ラグビー部きってのエンターテイナー・長山時盛さんのミニコンサートも披露され、子どもたちにも大人気、会場からは大きな拍手が送られます。
そんな中、11時からは、いわてイーハトーブリーグ「紫波オックス 対 SWB」のゲームが行われ、岩手大学から4名、OB選手から2名の助っ人を入れて組んだSWBが72−0でオックスを振り切り、まずは地元開催を勝利で飾りました。
そして迎えたメインマッチ。万雷の拍手で両チームの選手が迎えられた後、震災で亡くなられた方への黙とうが捧げられ、静寂に包まれた松倉グラウンド。あまりに大きな傷跡の残る地元で、開催を支えてくれた皆さん、イベントを盛り上げてくれた皆さん、対戦相手に名乗りを上げてくれたヤマハ発動機ジュビロの関係者の皆さん、そして会場にかけつけてくれた大勢のサポーターの皆さんへの大きな感謝を胸に、新たなチャレンジの決意を示す一戦が、いよいよ始まりました。 |
|
ホイッスルと同時に、ヤマハのキックオフラッシュからいきなり畳みこまれるSW。タックルで止めた相手に、瞬時に次のフォロワー。さらにタックルのSWですが、入り込まれて、つながれて、成す術なくゴール前でペナルティを与え、速攻からブラインドを余ったウイングに飛び込まれ、開始1分で先制トライを浴びます。一番遠いゴールも、日本代表のFB五郎丸に決められて0−7。
|
続くヤマハキックオフも、SWに立て直す暇を与えず波状攻撃を見せるヤマハ。先制された場面のリプレイを見せられているかのように唖然とするSWサポーターを尻目に、どんどん追い込むヤマハの大型外人ロックの突破に対応できず、同じ右隅にトライを浴びて6分で0−12。
さらに次のキックオフ、競り合えないままボールを展開する相手に、浴びせ倒そうとするSW。それでもヤマハは、またもや波状攻撃。出足鋭い韓国人CTBから俊足WTBへと、羨むばかりの連続アタックで、またも同じく右隅にトライ。ゴールも決められ10分で3トライの0−19。
成す術もなく次々とディフェンスラインを切り裂かれる様子に、茫然自失のスタンドからは、声なきうめきが聞こえるかのよう。
|
次のキックオフも相手有利のところ、ややもたつく相手に仕掛けるSW。HO小野寺が食らいつき、LOファーディが、さらにLOラタが突っ込んで、FL須田へ。さらにラックサイドをNo.8馬渕が出ます。SH細川からSO井上へ、CTBアラティニが相手センターに怯むことなく体当たりすると、CTBニールソンがオーバーして、SH細川がボールを出して、ラインに入ったHO小野寺がWTB菅野へ。巧に走る菅野の前進でFL須田が反応して球出し。FL佐伯がドライブして、PR佐々木和樹が、PR斉藤が続きます。2次、3次と攻撃が展開され、喚声と嬌声を取り戻したサポーター。今か今かとトライを期待するところ、次はサイドを突いて、と、すんでのところ落としたボールから相手のスクラムに。アーリープッシュのフリーキックを相手に与え、蹴り返されたボールを、FBマフィレオがバックアタックからハイパント。いい位置に上がったパントでしたが、相手外国人LOにがっちりとキャッチされ、こともあろうに一気のカウンターを食らい、あれよあれよという間に自陣ゴール前へ。やむなく反則をとられ、さらに後退しては、揺さぶられたラックから、大きく左に展開されて、完全に一人余った状態で追加トライを浴びてしまいます。前半23分で4本目のトライ。0−24。 |
[ LOファーディ ] |
[ SH細川 ] |
[CTBニールソン] |
それでも、徐々に相手の間合いを掴み出したSW。あとは一人一人のコンタクトで負けないよう気迫のプレーが望まれるところ、SO井上が執拗にタックルし、PR和樹が覆いかぶさり相手を倒します。ここで和樹が負傷退場。PR神田を投入して凌ぐSW。なんとか互角の勝負を展開してほしいファンの気持ちに応えるかのようなSWは、バックラインを破られても、CTBアラティニが、ひたすら追いかけ、FBレオとハサミうちで凌ぎ、HO小野寺がデカい相手もモノともせずに果敢にアタック。よし、いけると思った所に、勢い付けてラックに入り込む相手フォワードにまくられて、ターンオーバーを許し、その勢いのままゴール前まで走られて、WTB菅野が、なんとか止めたラックサイドを、超スピードの相手CTBの突破で中央にトライを献上。手痛い5本目のトライで、前半25分に0−31となります。
|
それでも、負けるものかの気持ちで、真っ向からアタックするSWに、その勢いを凌ぐくらいに激しいディフェンスで応酬するヤマハ。No.8馬渕が負傷交替し、LOに三浦健博を投入後も、その激しい当たりが止むことはなく、SWからもぎとったボールをFB五郎丸がラインを突破してゴール前に。なんとか止めるFBレオでしたが、ラックから定石通りの素早い球出しで前半のファイナルトライも献上。0−36で折り返しとなりました。
|
随所にいいアタック、激しいタックルが見られるSWですが、さすがにヤマハの壁は厚く、ため息の連続となった前半。まずは、なんとか一つのトライを・・・という切なる願いを込めた応援歌を大合唱した後には、はるばる遠征して来てくれたヤマハにも、感謝を込めて精一杯のエールを送るサポーター。感謝の気持ちを忘れず、最後まで選手とともに戦おうと思いを新たにしたハーフタイムが終わり、後半、SWキックオフでスタートしました。
|
と、仕切り直しの瞬間に、見事に相手につながれて、後ろに下がることにも気付かないくらいのヤマハの光速アタック。後半も先手を奪われる苦しい立ち上がりとなります。後半2分0−43。
なんとも苦虫を噛み潰したような気持ちになったところでしたが、このままずるずる引き下がってなるものかと、続くキックオフをものにしたSW。抜群の連続攻撃を見せてWTB菅野からFBレオへ。ニュースターのレオが渾身の走りを見せて、上手くファーディへ、さらに前進したところでレオにリターンパス。鮮やかな連携で、ついにトライ!待ちに待ったとばかりに、一斉に打ち振られる大漁旗。ゴールは成らぬものの、後半4分5−43と反撃の狼煙をあげます。
|
[ファーディからレオへそしてトライへ!] |
これで勢い付いたSWは、キックオフからも相手陣で展開。今度はこっちの番だと、気持ちの伝わる一人一人の果敢なアタック。よし行け、とサポーターの気合いも入るところ、あと一つのところで、ラックのオーバーを食らってアタックされたSWは、ディフェンスに入りながらもじりじりと後退。せっかくのラッシュを活かしきれずに已む無く後半追加点を献上。後半15分で5−50。
|
それでも、もう追加点は許さんとキックオフから攻撃に転じるSW。相手陣にささって行き、惜しいところまで攻め込むものの、どうにもコンタクトで相手に上回られて窮するところ、ターンオーバーから反撃されてつながれてしまいます。攻めては返され、速攻でトライをやってしまう不味い展開。リザーブも全員投入するSWですが、23分、29分、34分と、粘りながらも相手に追加点を許し大差がついていきます。SWの直向きなタックルと、懸命なアタックをものともせず、パワーとスピードで勝るヤマハがフィニッシュのトライも決めて、5−76となったところでノーサイドとなりました。
|
|
1,500人を超えるサポーターに見守られて、スクラム釜石メンバーのOBに見守られて、被災地の復興の心意気で挑んだ果敢な挑戦。そんなSWに、ヤマハは全力で応え、トップリーグを目指す厳しさを叩き込んでくれました。
何十回、何千回の練習に値するくらいに、ヤマハに胸をかりることができたSW選手たちの、悔しさの中にも煌めく瞳が、ひたむきに頑張る気持ちを表していた松倉グラウンドには、いつまでも惜しみない拍手が鳴り続けました。
「31年前、新幹線もない時代、釜石への旅は果てしなく遠く感じた。その旅程で高校出たての私は、こんなに遠いのだから、あの地には、きっとラグビーが上手くなる魔法使いがいて魔法をかけてくれると、そんな事を考えていた。実際は、魔法使いはいなかった。ただし、ひたむきに頑張るという最強の魔法を教わった。」(6月5日、16:00pm 長山時盛氏FBメッセージ)
復興への思いと、トップリーグへのチャレンジスピリッツと、たくさんの感謝を胸に、ただ、ひたすらに、ひたむきに突き進め!我らがSW!!
|
いわてイーハトーブリーグ「紫波オックス 対 SWB」 |
|
|
|
|