【公式記録】 |
◇公式記録(岩手県ラグビー協会HP)
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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 目標との差を痛感しながらも得た、確実なステップアップの手応え!
〜 北上ラグビーフェスティバル招待試合 vsNECグリーンロケッツ戦 〜
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先週は記念すべき地元公式戦の再開ながら、ヤマハ発動機ジュビロのパワーとスピードに圧倒され完敗を喫したSW。今週の北上招待の相手も、2002年以降の日本選手権で優勝3度を誇り、常にトップリーグで覇権を争うNECグリーンロケッツ。あの震災から、ラグビーをできるというスタートラインに立ち、そして今度は、昇格という夢に向かって前進するために力を蓄えるべき春シーズン、強豪から胸を借りることで、少しでも目標とすべきところのレベルを感じ、一段ずつステップアップしていってほしいところです。
風はあるものの、夏の日差しを浴びる広大な北上総合運動公園では、岩手県下の全スクールが集まる春季交流大会が開かれ、ちびっ子ラガーたちが元気に走り回ります。前座試合では、イーハトーブリーグで切磋琢磨する岩手のクラブ選手たちが、SWBとの戦いも入れて3試合を展開し、まさに岩手ラグビーの盛り上がりを感じる中、その頂点に立つSWが、どんな戦いを見せてくれるか。注目のトップリーグチャレンジ第二弾の幕が開きました。 |
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蒸し暑いコンディションの中、SWはキックオフから眼の覚めるようなフォワードラッシュを見せます。相手のキャッチミスに乗じてボールを奪うと、LOスコット・ファーディが、PR神田佑樹が、強敵をものともせずに突進。さらにSO小原義巧(のりよし)の敵陣深くへのナイスタッチキックからラインアウトに。そしてライン攻撃を1次、2次と繰り出し続け、たまらぬ相手のペナルティから、再びマイボールラインアウトを得て、万全のモール攻撃へ。このチャンスを、早速の釜石コールに乗ってきっちり押し込み、最後はHO小野寺政人がトライ。バックスでゲインして、フォワードが押し込むという鮮やかな先制アタックに、難しい位置からのSO小原のゴールも決まり、7−0とします。
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先週のヤマハ戦の記憶が残るサポーターも、開始早々のトライ劇にやんやの喝采。よしいけるぞ、という声が飛ぶ中、目覚めたNECがキックオフから猛然と襲い掛かります。なんとかパスを出したところ、タッチキックをチャージされ、あろうことかインゴールに転がったボールをそのままグラウンディングされてしまいます。スタンドの興奮冷めやらぬ間の一瞬の出来事で、前半3分7−5。
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それでも、キックオフから連続攻撃を展開し、FBピエイ・マフィレオが、CTBピタ・アラティニがずんずん突破。FL佐伯悠が、LO三浦健博が、サイドを突いてじりじりと前進していきます。SH細川諭も素早くさばき、ついに敵陣深くのラインアウトのチャンスです。しかし、いいぞと思ったのも束の間、上手く連係できず、NECの怒涛の攻撃を許しますが、なんとか凌いだSWは、ターンオーバーからFL須田が抜け出し独走。ゴール前までチャンスを広げて攻め込むSWに、NECも流石のディフェンスで応戦。激しく攻守が入れ替わる、互角の展開。
しかし前半18分、ハーフウェイ付近からアタックを仕掛けようとするところ、ラック近辺のミスをつかれてボールを奪われたかと思うと、NECが一気に加速。ナイスタックルで倒しても、フォローがきっちりついてつないでくるNEC、最後は相手外国人CTBに走らきられて、トライを献上します。7−12。
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それでも続くキックオフを見事にキャッチし、ラインに展開してアタックを仕掛けるSW。1本目のトライの再現を期待するところ、最後のパスがつながらず、運悪くこれをまたも相手外国人CTBに拾われて裏返り、逆に先ほどのトライシーンの再現かと思われるような独走を許します。レオが何とか止めるものの、きっちりフォローに走ったNECにつながれて、連続トライを献上。アタックの一瞬のミスから許した、やらずもがなの2本のトライで、前半21分7−19となりました。
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このままではいけないと気を取り直しキックオフから攻めるSWですが、相手ディフェンスの出足鋭く、厳しいプレッシャーにミスが出て、ターンオーバーから攻められると、これまた厳しく体を当ててくる相手のアタック。防戦一方でも、ひたすら諦めずに、パワフルな相手にタックルで食い下がるSW。手応えのある攻防に、相手のペナルティを得て、もう一度、チャンスの敵陣ラインアウトとなりますが、ハンドリングミスから相手にボールが渡って、大きくキックされて自陣ラインアウトへ。SWも負けじとキックで戻すところ、反対にカウンターで攻め立てられて、ずるずると後退してしまい、ラインディフェンスにオフサイドをとられ、ゴール前のピンチに追い込まれます。モールを押し込もうとするNECフォワード陣の前進を許さず、展開からの突進も、CTBアラティニの気迫のタックルで一時は止めたものの、NECの分厚い攻撃に耐えきれず、最後は相手No.8に飛び込まれて追加トライを献上します。前半30分で7−26。
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さらに前半37分、FBレオのハイパントをしっかりキャッチされて敵陣からのカウンターを受けると、スピードに乗った相手WTBにライン突破され、菅野の必死のタックルも及ばず、40mの独走トライを許します。7−31。
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敵陣で攻めてもなかなかスコアできないSW、一方で敵陣に入ればきっちりスコアをあげるNEC。攻守は右に左に入れ替わり、決して一方的な劣勢に陥っているわけではないものの、どんどん点差だけが開いていく厳しい展開。
それでもSWは、キックオフから諦めずに攻めにいきます。CTB森山裕樹が渾身のアタックでポイントをつくり、さらにキックの応酬をものにしたSWは、自陣のスクラムからSO小原のゴロパントで敵陣に。HO小野寺が、LOファーディが続け様に突破。PR斉藤芳が続き、LO三浦も前に出ます。FBレオがライン参加して突破。さらにペナルティからの速攻で、CTBアラティニからWTB奥田へ、そして最後はCTBアラティニにリターンしてトライ。当たりに当たり、つなぎにつないだアタックが結実し、サポーターの溜飲を下げる会心の1本に、強い向かい風と角度もある難しいゴールをSO小原が見事に決めて、沸きに沸くスタンド。ハーフタイム直前の貴重なトライで、14−31として折り返します。
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[CTBアラティニ] |
[CTB佐々木天晃(たかみつ)] |
後半NECのキックオフから、SWはハイパントで応酬。カウンターに来た相手にタックルでミスを誘い、自陣ながらもマイボールラインアウトにして、さらにSWはもう一回ハイパント。これが功を奏して敵陣のスクラムとなり、サイド攻撃からモールへと、フォワードのまとまり良い攻撃から、HO小野寺、CTBアラティニ、LO三浦と、サイドをついて前へ出ていきます。もぎとったような相手ペナルティから、ゴール前ラインアウトのチャンスを作り出し、モールサイドを、LOファーディ、LO三浦と前進してバックスへ。怒涛の攻めにひるむNECバックスのスキを突いたCTBアラティニが突破し、すがるディフェンスに身を呈してもんどり打ちながらもオフロードパスを、後半から入ったCTB佐々木天晃(たかみつ)につなぐと、最後はタックルを受けながらも転がるようにインゴールに飛び込んでトライ。SO小原のゴールも完璧で、後半幸先良く先手を奪ったSW。21−31と詰め寄ります。
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よーし行くぞ、と追い上げ態勢のSWですが、それでもNECは決して焦ることなくパワーにものを言わせて、フォワードがつないでゲインしてきます。苦しくなったSWはペナルティを与えてしまい、さらに攻められ、差し込まれてどうにもコントロールできないスクラムに。SWの攻撃も、NECのひときわ激しくなったように見えるディフェンスに、完璧なまでに行く手を阻まれ、前に出られなくなります。
なんとかタックルで食らいつき、ドライビングモールもすんでのところで防ぎ、必死のディフェンスを見せるSWでしたが、右に左に自在につないで波状攻撃を仕掛けてくるNECにじわじわと追加点を許し、後半34分には21−55と突き放されてしまいました。
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万事休すかのラスト5分。諦めてほしくない、諦めたくないSWの気迫は通じ、キックオフからモールで攻めてくる相手から上手くターンオーバーしたアタックで、WTB菅野朋幸が走り抜けチャンスをつくります。一旦はボールが相手にわたるものの、CTB佐々木天晃がチャージして敵陣をキープ。スクラムをパワーで制する相手でしたが、一瞬のミスをSO井上益基也が素早く反応して拾い上げターンオーバー。敵陣ラインアウトのチャンスに持ち込み、モールをじりじりと押すSW。ペナルティをもらっては速攻で攻めて、再度ラインアウトのチャンスに持ち込んだSWでしたが、強風に流されノットストレートとなり相手ボールになります。
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[WTB菅野朋幸] |
それでも、もう一回ターンオーバーして押せ押せのSW。スタンドも大興奮、今日最大の釜石コールに乗ってモールをインゴール手前まで押し込み、ついにトライか、というところで惜しくもグラウンディング成らず。それでも、まだまだあるぞ、と声がかかる中、5mスクラムからオープンに展開したところで、痛恨の連係ミスが出て、こともあろうにトライゲッターの相手外国人センターがターンオーバー。そのまま敵陣22m付近から独走のファイナルトライを与えて、21−62でノーサイドとなりました。 |
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アタックのスピード、ミスからトライを取りきる決定力、集散の早さ、あらゆる面でトップリーグのレベルを見せつけられたものの、最後まで必死に食らいつき、強豪に真っ向から挑んでもぎ取った貴重な3トライ。
声をからして応援し続けたサポーターと、負けるものか、諦めるものかと、ひたすらチャレンジした選手たちの、そのどちらにも、SWが誇りとする、ひたむきな姿がありました。
胸を貸してくれるために、ラトゥ主将はじめはるばる岩手まで遠征してきてくれたNEC選手たちからも、励ましと連帯の気持ちがこもったエールを送られて、気持ちも新たに復興途上の被災地・釜石に戻るSW選手たち。
関東学院戦でラグビーができる喜びを感じ、ヤマハ戦で地元の声援に感謝を感じ、今日、強豪・NEC相手に果敢にチャレンジしたことで、イーストリーグを戦うためのステップアップの手応えを感じたSW。ひたむきに一歩ずつ、地域とともに、たくさんのサポーターと闘う誇りを胸に、突き進め、我らがSW! |
いわてイーハトーブリーグ「北上矢巾ブレイズラガー 対 SWB」 |
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