【公式記録】 |
◇公式記録(岩手県ラグビー協会HP)
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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 地元で得た手応えと、見せつけられた確かな差 秩父宮で雪辱を期す!
〜 プレシーズンマッチT vsクボタスピアーズ戦 〜
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連日30度を超える凄まじい猛暑が続いたかと思うと、やませが押し寄せて曇り空の肌寒さに戻るという調子外れの夏の気候の中、来るべきリーグ戦に備え、トレーニングに精を出し、ときには甲子川でクールダウンをしながら鍛錬に励んでいるSW。7月半ばには八幡平で合宿を行い、さらに自らを追い込んだところですが、八幡平合宿中の7月16日にタマリバとのBチーム練習試合に出場したメンバー以外は、6月のオープン戦以来ゲームがありません。
そんなゲームに飢えた状況で迎えた7月30日、釜石プレシーズンマッチT。新規加入のFB吉田尚史(よしだ たかし)も合流し35名となったSW、ここまでの鍛錬の成果を示さんと迎えるは、クボタスピアーズ。トップリーグ開幕以来、順位レコードが6位3回、8位4回と、常にベスト8を維持しながら、昨年初めて降格の憂き目に合い、今季トップリーグ再昇格を至上命題とする、イーストリーグ最強と目される相手です。
それでもクボタスピアーズは、今回の試合にあたり、遠征を自費で申し出てくれたばかりか、潟Nボタ50名の社員の皆さんが駆けつけ、会場準備に、試合イベントのお手伝いからゴミも含めた片付けまで、さらに試合翌日には唐丹でボランティア支援と、休日返上の好プレーを発揮いただきました。
また、釜石市内の事業者たちが再起をかけて走りだした「かまいしキッチンカープロジェクト」に支援をいただき、来場された方々にお食事をサービス。さらに事前に購入した「釜石復興の風・うちわ」を来場者にプレゼントし、出場選手たちには記念Tシャツをプレゼントと、震災で被災した釜石の窮状を酌んだ、様々な支援、盛りだくさんの賑わいを頂戴しました。
そんな、復興を期する市民の思いと、支援の心が一体となったキッチンカーでは、釜石ラーメン、サルサ丼、カレー、ロールパン、かまいしラスク、ソフトクリームとご馳走が振る舞われ、雨模様の中でも大賑わい。商売の再興にかける地元商店の皆さんの晴れ晴れした笑顔が印象的でした。
さらに、前座試合として併催された「がんばろう岩手!復興育成中学生大会」には、根浜宝来館でボランティアを兼ねた夏合宿を実施してくれた青山学院中等部ラグビー部と、北上で夏合宿中の横浜ラグビースクール中学生が参加してくれて、岩手中学生選抜、滝沢南中学校とがそれぞれ対戦。メインの試合後には、前座の2試合の敗者戦と決勝戦まで行われ、ジュニアラグビーの交流とレベル向上につながる1日となりました。
賑わう会場とは裏腹に、残念ながら降りやまぬ雨の中、早くも濡れて重くなった大漁旗を渾身の力を込めて翻す応援団が待ち望むのは、SW戦士の気迫溢れるプレー、そして勝利。昇格に向けて越えなければならない相手にどう挑むか、いよいよリーグ本番に備えたプレシーズンマッチ第1幕の幕開けです。 |
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雨脚の増す中、スピアーズのキックオフ。FLファーディがキャッチしてフォワードがすぐにバインド、キックでハーフウェイまで戻すSW。見守る1,200人超の来場者となったスタンドも緊張の立ち上がりです。敵のノッコンからマイボールのファーストスクラムとなるも、スピアーズ強力フォワードに押しこまれ、ターンオーバーを許したSW。しかし、続くディフェンスのプレッシャーが良く、ノッコンを誘い再びマイボールスクラムとする奮闘に、行けるぞという気持ちになるサポーターの声援が沸きます。
その後も、自陣ラインアウトの苦しいところもターンオーバーし陣地を挽回。さらに敵のライン攻撃もディフェンスの出足よくノッコンを誘い、CTBピタ・アラティニが切りこんで敵陣深く攻め込み相手のペナルティから22m付近のラインアウトのチャンス。モールで押し込むSWに、必死のディフェンスのスピアーズ、早くも手に汗握る攻防に、今か今かとトライを待つサポーター。
しかし、相手を足でひっかけてしまう不用意な反則でスピアーズに挽回を許すSW。それでも、出足鋭いディフェンスで敵の突進を食い止め、またもターンオーバーか、と思った矢先、あまりの激しいディフェンスが危険なプレーとされ、No.8須田がイエローカードでシンビン、10分間の一時退場となってしまいます。
納得いかないような選手たちに、キャプテンFL佐伯悠、LO三浦健博が声を出してペースを崩さないよう指示を出しますが、ここがチャンスとばかりにかさにかかって攻めてくるスピアーズフォワード陣の圧力に抗しきれず、前半12分、右ライン際を突破されると、フォローに走った相手FLにそのままインゴールまで持ち込まれ0−7と先制されます。
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攻めていただけに悔しいトライではありましたが、ここはパワープレーのハンディといえども踏ん張りどころ。しかし、キックオフに続く中央マイボールラインアウトで、ロングスローが相手外国人FLにスッポリおさまり、そのまま50mを独走。FB吉田の意地のタックルも及ばず、滑り込むように飛び込まれ、前半15分0−12となります。
次のキックオフからはキックの応酬。自陣から敵陣へ、敵陣から自陣へ、展開がめまぐるしく動く中、またもチャンスをつかんだのはスピアーズ。前半22分、ハイパントをうまくキャッチされてのカウンターで、ディフェンスラインの裏に絶妙なゴロパントを転がされます。この機を逃さず、一気に加速してくるスピアーズの勢い凄まじく、そのままつながれて0−19と突き放されたSW。
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それでも、このままずるずると相手ペースでなるものかと奮起するSW。キックオフにもFLファーディが良く反応し、続くLOルイ・ラタが、HO小野寺政人が連続して攻めていきます。粘るスピアーズのディフェンスでしたがペナルティからSWは敵陣ラインアウトを得ます。得意のモールで攻めるフォワードは、PR斉藤芳、浜野旭、そしてFL佐伯、No.8須田と、次々にアタックをしかけ、SH細川諭のコールで、中央に前進してラックとします。しかし、あと一歩、というところで、痛恨のノッコン。
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今度はスピアーズが反撃しますが、SO小原義巧、CTBアラティニが、タックルで食い止め、耐え忍ぶところに、CTBニールソン武蓮傳がターンオーバー。よし、チャンスだ、と速攻の反撃ながら、最後のワンパスがつながらず、またもため息がもれるスタンド。
それでも諦めず攻め続けるSWは、敵陣スクラムからSH細川諭がサイドをついて、俊足を飛ばして一気にゴール前に。HO小野寺、LOルイと攻め続け一歩ずつ前進。この機を逃すな、と響く釜石コールの中、トライ直前でまたも痛恨のノッコン。最後までチャンスを活かせず、悔しいハーフタイムとなりました。
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お互いに出足鋭いディフェンスを見せ、また悪天候ということもあり、相互にミスが散見される前半でしたが、そのミスがトライにつながる致命傷となったSW。一方、確実にスコアにつなげていったスピアーズ。こんなもんじゃない、まだまだいけるぞとばかりに響く恒例のSW応援歌が、選手のさらなる奮起を促します。
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気合いを入れ直しての後半キックオフ、惜しくもFLファーディ届かず。それでもハーフウェイまで陣地を持ちなおし、蹴り込むところにスピアーズのチャージを受け、ピンチにターンオーバー、と、立ち上がりから息つく暇もないめまぐるしい攻防。SWスクラムからのNo.8須田の絶妙なサイド攻撃も、惜しくもパスがつながらず、ポイントから相手のライン攻撃となるも、HO小野寺の気迫のタックルで攻防が入れ替わるといった、互いに譲らぬ互角の展開に、スタンドのサポーターも固唾をのんで見守ります。
しかし、迎えた後半22分、何とか早めに1本返したいSWの自陣からのアタックで焦りが出たか、やや無理気味にラインでパスをつなげようとしたPR陣の連係ミスが出て、自陣ゴール前で痛恨のインターセプト。やってはならないトライを挙げられ、0−33。
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このショックが尾を引いたか、相手が乗ってきたか、続くSWキックオフをスピアーズはナイスキャッチ。後半から入ったSO井上益基也のナイスタックルでいったんはマイボールスクラムとしたものの、ハンドリングミスからターンオーバーを返されると、すばやく反応したスピアーズにつながれて、あろうことか追加点を許します。後半25分0−40。
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続くSWキックオフも、連続してスピアーズがナイスキャッチしますが、嫌な雰囲気を吹き飛ばすようなタックルでSWがターンオーバー。代わったSH千葉大和にWTB菅野朋幸が走り込んでパスを受け、ずんずん前に出て、スピアーズを自陣に釘付けにします。しかし、あと少しのところで、なかなかゴールに駆けこめないSW。じりじりする気持ちを、なんとか抑えて、じっくりフォワードで攻め、一歩また一歩とゴールに近づくものの、なんとも近くて遠いゴールライン。最後まで集中を切らさない、分厚いスピアーズのディフェンスに何度も跳ね返されます。
それでも、最後は「1本取る」というSWの気迫が勝りました。相手のペナルティから敵陣ゴール前ラインアウトを三度、四度と繰り返すと、叫びにも似た釜石コールに乗ってついにモールを押し込み、代わって入ったHO渡邊潤一がトライ。大漁旗が一斉に乱舞し、5−40となったところでノーサイドとなりました。
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攻め込みながらもなかなかトライを奪えず、終わってみれば大差の敗戦。ミスやチャンスを確実にスコアする決定力の差を見せつけられる結果になりましたが、激しいディフェンスから何度もターンオーバーを見せたほか、FW戦で優位に立って敵陣に押し込む時間帯も多く見られ、選手も手応えを感じたところはあったはずです。
一方気になったのは、スコアが開くにつれ、時折下を向いてしまう場面が見られたこと。苦しいゲームでも、声を出し、互いを鼓舞し、相手に向かっていく気迫こそ、サポーターが期待する姿であり、被災した地域が復興に向けて立ち上がる姿と重なるところでもあります。
リーグ開幕までいよいよあと1ヶ月半を切りました。今日戦ったクボタスピアーズとは、イーストリーグ第2戦、9月18日に秩父宮で雌雄を決します。「地元・釜石のために勝利を」と、特別な想いをもって挑む今季、地元サポーターの前で見せつけられた差をどう埋めていくか。開幕まで待ったなし、「まだまだ課題は多いです、頑張ります」と前を向く佐伯キャプテンを中心に、チーム一丸となって、復興への意気込みに燃える地域とともに、ひたむきに突き進め!我らがSW!! |
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