【公式記録】 |
◇公式記録 |
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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 東北のライバルから学んだ、メンタルの重要さ
〜 トップイースト第3節 vs秋田ノーザンブレッツ戦 〜
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SW2010、第3戦。開幕2連勝、順調に勝ち点5を積み上げ、前節では日野自動車から7トライの圧勝劇を演じて迎える一戦、さらに今季松倉での最後の公式戦とあって、台風一過の青空の下、トライラッシュを期待したサポーターが続々と詰め掛けます。大勢のサポーターで賑わう受付テントでは、入場の証となる10周年記念アイテムが飛ぶように売れ、さらに勝利の前祝いとばかりに岩手地域特産の「エーデルワイン」と「くずまきワイン」応援ラベルワインの試飲会も開催。バックスタンドでは、SWマークの軍手と、選手の缶バッジが人気上昇の応援団グッズの寄付販売もあり、前座には正福寺幼稚園の鼓隊が、ちびっこながら大迫力で、またリズミカルに素晴らしい応援演奏を繰り広げ、フレーフレー秋田、フレーフレー釜石、と大合唱。地元ならではの演出で、スタンドも盛り上がります。
第3戦の相手は、同じ東北のクラブチームとしてSWと鎬を削る、秋田ノーザンブレッツ。昨年はイースト最下位に終わったものの、今季は実績のある外国人選手に、活きのいい新人選手が加わり、チーム力が格段にアップ。昨年からの巻き返しを狙うところ、今年の秋田招待試合「ロックオン、釜石」のフレーズの如く、東北のライバルに迫らんとする気迫は侮れません。
相手にとって不足無し。色とりどりの大漁旗が翻る中、9月3戦連勝は必須と、いやが上にも高まるサポーターの期待を背に受け、開始を告げるホイッスルが松倉の空に響きました。 |
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時折強く吹くSWに向かい風の松倉で、13:00、秋田NBのキックオフをリターンしてスタート。
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立ち上がりから徐々に敵陣に侵攻するSW。相手ラインアウトを競っていき、フォワードがターンオーバー。No.8馬渕に、FL岡崎、佐伯のバックロー陣の連携も鮮やかに、早くもチャンスを生み出します。パスがやや浮いてしまって攻撃が決まらなかったものの、その後のディフェンスから得たマイボールラインアウトから、HO小野寺がラッシュ。続くラックから、No.8馬渕がサイドをついてゴール目前に迫ります。相手のペナルティからスクラムを選択したSW、再び馬渕のサイド攻撃が決まり、見事な速攻トライ。FB津嶋のゴールも確実に決まり、前半6分7-0と先制します。
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[No8 馬渕勝選手] |
続くキックオフからも好調なSW、ターンオーバーからオープン攻撃を見せますが、ハンドの反則で後退、さらに相手ラインアウトからのアタックにノットロールアウェイの反則。PGで、やらずもがなの3点を献上してしまいます。前半10分7-3。
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[LO スコット・ファーディー選手] |
気合いを入れ直したSWは、次のキックオフから、お返しとばかりに出足鋭いラッシュ。相手のキャッチミスを見逃さずにボールを奪うと、フォワードからバックスへ、怒涛の攻撃です。敵陣ラックからSH長田が素早くさばいてWTB佐々木天晃へ。と、相手選手をかわしたと思うと、次の選手は引きずった挙句に振り切り、ものの見事に相手ラインの裏へ出ます。そこにフォローしたLOスコット・ファーディ、速さと力強さを備えた見事なランで、コーナーポスト付近のインゴールに飛び込んでトライ。これまた難しいゴールもFB津嶋の名人芸で成功。前半12分14-3と快調です。 |
さあ行くぞ、という雰囲気の選手たち、さあ、どんどんいってくれ、と応援するスタジアム。続く秋田NBのキックオフからのロングキックの応酬はSWが制した形で、相手陣での秋田NBのラインアウト。このボールをキャッチしたFL岡崎が、ゴール目掛けて猛突進。必死のディフェンスを見せる秋田NBを尻目に、速攻でSH長田がつなぐと、これを受けたSO小原が魅せました。相手ライン裏に蹴った巧妙なショートパントを自ら拾って、そのままインゴールに飛び込む技ありのトライ。FB津嶋のゴールも決まり、前半16分21-3と引き離します。
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[SO小原義巧選手] |
[CTB ピタ・アラティニ選手] |
しかしここから、あと一本のプレッシャーか、秋田NBキックオフの処理に連携ミスが出て、やや攻め込まれるシーンも。一進一退の攻防の中、ペナルティから何度もゴール目前に迫られるピンチもありましたが、そこは今季の出来栄え上々のSWフォワードが、ピンチを凌いでくれます。さらにCTBアラティニ、ニールソンの厳しいディフェンスからペナルティを得て、相手陣ラインアウトへ。七色の攻撃ともいえるバラエティを誇る今季SWのアタックですが、そんな得意技のひとつ、ラインアウトモールへと持ち込んだSWは、ゴール前まで押しまくります。ラックになったとみるや早い球さばきでSH長田、SO小原とわたり、最後はCTB神様仏様アラティニ様の、鮮やかなカットインで、インゴールに駆け込んでトライ。今季3戦目にして本領発揮、FB津嶋のゴールもありがたく、前半34分で、ボーナス点獲得の4トライ目をあげて、28-3と圧倒。その後は互いにスコアのないまま、ハーフタイムとなりました。 |
勝ち点は確保したからまずは安心だ、このままなら今季最高得点はいけるだろう、三菱重工は57点取ったからそれ以上は欲しいな・・・などと笑顔で話の弾むスタンド。意気揚々とSW応援歌が響き、トライラッシュに期待膨らむ後半、SWキックオフでスタート。
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と、何が違うか、はっきりつかめないまま、キックの応酬では、高いバウンドが、なぜか秋田NBとなるシーンが連続し、CTBアラティニのタックルでターンオーバーして攻めたチャンスも、SO小原からのキックパスに応じたWTB佐々木天晃の転がしたボールが相手に渡ったり、攻撃がつながらず、じりじり自陣に戻ってしまいます。
嫌なムードが漂う矢先、相手CTBにカウンターからゲインラインを突破されます。これをつながれて、一気にゴール前まで攻め込まれると、ラックから出たボールを受けた相手外国人の突進を止められず、トライを奪われてしまいます。後半開始早々の5分、28-10と先手を取られたSW。
おや、どうしたことか、と首を傾げるサポーター。それでも、まだ後半始まったばかり、と楽観的な雰囲気が漂う中、直後のキックオフを、カウンターからまたもあっさりとラインを破られてロングゲイン。何とかゴール前で止めたものの、ラックからの相手No.8の突進を受け、先ほどのリプレーのようなノーホイッスルトライ。後半7分、28-17と迫られたSW。 |
[FB 津嶋俊一選手] |
前半には見られなかったような秋田の鮮やかなアタックシーンの連続に、秋田サポーターから「あと2本!」の大合唱が起き、スタンドの雰囲気も一変。こういうときこそ、池村HCが言うメンタルがモノを言うところ、もう一度気持ちを入れ直したSW。キックオフからフォワードがラッシュして、ペナルティを得ます。ラインアウトから相手スクラムへと変わりましたが、PR斉藤、HO小野寺、PR神田がしっかりバインドし、フォワード一丸で、ぐいぐい押しこみます。CTBニールソンがタックルでプレッシャーをかけ続け、ターンオーバー。そしてルースサイドをNo.8馬渕、SH長田と続けざまにアタック。あと一歩でゴールまで届かないところ、まずは14点差以上にするため、相手の反則に冷静にショットを狙い、FB津嶋のゴールで、後半13分に31-17とします。
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これで落ち着きを取り戻したか、続く秋田NBのキックオフで、ポイントを作ったSWはSH長田のパントでLOルイ・ラタの出足よく相手のボールを奪い、バックスに展開。CTBアラティニが、相手ディフェンスを突破。走り抜けてフォワードにつなぎ、さらに展開、大外で待ち構えるNo.8馬渕にキックパス。これまた得意技のキックパストライが決まるかと思ったところ、惜しくもキックオフサイドの反則をとられ、自陣に戻されてしまいます。
それでも、今日の試合、競り合いに勝る感のラインアウトで、またもターンオーバーが飛び出し、フォワードが勢い込んで突進します。惜しくもゴールラインには至らず、逃げる相手のタッチキックがダイレクトとなり、ラインアウトから展開したSW。SH長田、SO小原からエキストラでライン参加のWTB佐々木天晃が見事に突破、チャンスをつくったところで、フォローよくLOスコット・ファーディが勢いよくゴールに駆け込んでトライ。勢い止まらずにデッドボールラインに並んだカメラマンをジャンプして飛び越えるご愛敬もあり、ゴールはならずとも、後半20分に36-17と引き離します。
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[LOスコット・ファーディ選手] |
よしよし、それでいい、とスタンドにも再び笑顔が見られるところ、選手にも隙が生じたか、キックオフから攻め込まれ、相手の気迫に押されたかのように、なかなか相手陣に戻せないSW。ゴールラインぎりぎりでのディフェンスを強いられた挙句、ついに31分、ラックサイドを相手SHに破られてトライを献上。ゴールは外れたものの、36-22と再び2トライ2ゴールの射程圏内に。
東北のライバルに遅れを取ってなるものかと、気迫溢れるプレーを見せる秋田NBに、突き放しては追いすがられる展開。こんなはずはない、と仕切り直しのキックオフ。出足鋭いラッシュを見せて見事マイボールにし、よし、一気呵成にいくぞ、と思った矢先のパスを、交代で入った相手ルーキーCTBがまんまとインターセプト。そのまま70mを独走、この日2本目の屈辱のノーホイッスルトライを許してしまいます。後半33分36-29。
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[LOスコット・ファーディ選手] |
吼える秋田NBの選手、沸きあがる秋田サポーター。残り10分を切ったところで、ついに1トライ1ゴール差に迫られたSW。後半だけで4トライを献上する信じ難い光景に、初戦のセコム戦で翻った大漁旗が再び乱舞します。どうした、頑張れ、気迫で負けるな、とスタンドの方々からも声援が飛び、スタンドのサポーターも必死の後押し。
と、この思いが通じたか、次のキックオフのラッシュも凄まじく、相手ボールをもぎとったSW。ラックからNo.8馬渕がクラッシュを立て続けに炸裂させ、前に出てラックを成したかと思うと、SH長田、LOファーディと攻め、ファーディがこの日、3本目の突き放しトライを中央に決めて、FB津嶋のゴールもゆうゆう決まり、後半38分43-29と試合を決定付けます。
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諦めない秋田NB、負けても7点差で得られる勝ち点を目指し、最後まで猛アタックを仕掛けてきますが、もうスコアは許さん、と気合いを入れたSWが意地のディフェンスを見せ、LOラタ・ルイが見事にターンオーバー。そのままノーサイドとなりました。
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後半のスコアだけを見れば15-26。相手に合わせてしまう、試合の中でふっと抜けたような時間が生じてしまう、そんな悪癖が顔をのぞかせたような苦しい一戦。秋田NBが後半に見せた気迫溢れるラッシュは、ライバルからの叱咤激励にも感じられました。
「勝ち点5で3連勝できたことは確かだが、今日のようなレベルでは、上位と対戦して勝ちぬけないことは、自分たちもわかっているはず。この2週間で、どう引き締められるか、自分に返ってくることを覚悟してほしい。」
勝っても、後半の不出来な結果に、どうにも勝った気のしないSW選手たち。
試合に出場しなかったリザーブ選手のトレーニングが続く中、グランドを引き上げる選手たちに、それぞれの覚悟が芽生える様を、見守るような仙人の夕焼けでした。
第4戦は、秩父宮ラグビー場で10月11日(月祝)12:00から、日本IBMビッグブルーが相手です。
試合後には、恒例のSW秩父宮ファン交流会も開催されます。気迫充実なったSWへの応援よろしくお願いします。
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[ラインアウトアウトをしっかりキャッチするFL6佐伯悠選手] |
[ぐいぐいモールを押し込むFW陣] |
[スーパーブーツも復活!、津嶋俊一選手、この日5/6] |
[初スタメンでアピールする神田佑樹選手] |
[テンポ良くボールを出す長田剛選手] |
[好調、LOスコット・ファーディ選手のチャージ] |
[モールを組んで前へ] |
[このもフル出場の斉藤芳選手のチャージ] |
[必死にタックルにいくCTB ピタ・アラティニ選手] |
[津嶋選手をフォローする佐々木天晃選手] |
[斉藤選手(右)、小野寺選手(中)、神田選手(左)の1列] |
[ビックゲインする佐々木天晃選手] |
[前が一瞬空き前に出る長田 剛選手] |
沢山の応援有難うございました。 |
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