【公式記録】 |
◇公式記録 |
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【ゲームウォッチングレビュー】 写真:事務局 |
◆ 積年のライバルとの死闘、力尽くも、昇格の灯は消えず!
〜 トップイースト第8節 vs三菱重工相模原ダイナボアーズ戦 〜
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トップリーグ昇格をかけた節目の10周年記念シーズン。まちで、地域全体で盛り上げて、開幕6連勝の話題で持ちきりとなったところで、11月初戦の栗田工業に喫した1点差の惜敗は、まさに激震が走るものでしたが、それも乗り越えるべき艱難辛苦のひとつ。地元の、全国のサポーターの期待は、いささかも揺らぐことはありません。
その期待に応えるべく、気持ちを切り替え、敵地・三菱重工相模原グラウンドに乗り込んだSW。
今回の相手、三菱重工相模原ダイナボアーズは、言わずと知れたかつてのイースト王者で、トップリーグ経験を有する強豪。遡れば2001年、東日本社会人リーグの入替戦、新日鐵釜石ラグビー部最後の試合で苦杯をなめさせられた相手であり、以後、SWと数々の死闘を演じてきた宿命のライバルでもあります。
トップリーグ昇格とともに、ラグビースクールを格大し、地域の応援を増やす取り組みをしてきたダイナボアーズのホームグランドには、午前中から、スクール生徒のちびっ子やOBの家族連れが集まり、楕円球に戯れて、お昼には模擬店の振る舞いもあり、そのままピクニック気分で応援に参加。
一方のSWサイドには、早くに、岩手、釜石から、応援バスや相乗りで駆けつける人たちが陣取って、首都圏のサポーターも次々に集結してきます。地元の試合と同じように、交通安全2010ポスターが配布され、応援ハガキ、10周年アイテム、応援軍手、応援缶バッジの寄付販売も賑やかです。
観客の前でアップする両軍の選手たちは、今日の試合の重みが充分に沁み入って、リズミカルな身体パフォーマンスながらも、緊迫した空気でグランド全体を包み込みます。
昇格に向けて譲れない現在2位の釜石、今季2敗を喫し、崖っぷちに追い込まれている現在4位の三菱。積年のライバルとの、イーストリーグ天下分け目の決戦を迎えるスタンドに、色とりどりの大漁旗が一糸乱れず翻って、高ぶる気持ちの旗音を響かせ、いよいよキックオフを迎えました。
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曇り空の13:00、やや向かい風を受けてSWのキックオフ。
開始直後からの激しいアタックに、凄まじいタックル。観ている者の手に、早くも汗が滲むようなプレーの連続です。
この日、FLでスタートのスコット・ファーディに、No.8初先発の須田が、FL佐伯とともに、体を張って相手に突進します。LOルイラタ、三浦健博が続け様にフォロー、SH長田が出すボールをさばくのは、怪我で欠場の小原に代わり、公式戦初先発となるルーキーSO井上。CTBアラティニキャプテンとニールソンが相手の突破を許さず、WTB佐々木天晃と菅野、FB津嶋は、相手をなぎ倒し、はたまた、するりと交わしてゲイン。スクラムでは、PR斉藤、佐々木和樹、HO小野寺の一列が、がっしりとSWの先陣を堅守し、FW一体で押していきます。
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開始から15分、敵陣でのプレーが続き、このままスコアまで持っていって欲しいところですが、さすが歴戦の雄、反則からの一気のアタック、さらにブレイクダウンを制してのターンオーバーと、随所に強さを発揮。SWも、火の出るようなタックルで応戦し、ターンオーバーの応酬。互いにスコアを許しません。
そんな中、チャンスをつかんだのはSW。前半25分、相手ラックにCTBニールソンがからみ、ノットリリースでペナルティを得て、30m以上のやや距離のあるところでショットを選択。
これを、右のスーパーブーツ・FB津嶋がきっちり決めて、3−0と先制します。
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[津嶋 俊一選手] |
なおも敵陣に突き進むSWに対し、高さのあるラインアウトディフェンスで、容易にトライパターンに持ち込ませないボアーズ。攻め手の一つを封じ込まれたSW、相手のラックサイドの突進に、ディフェンスに出たところで反則をとられて、今度は自陣ゴール前ラインアウトのディフェンスに追い込まれます。二度三度、ピンチをしのいで、敵陣を窺うも、なおも攻め込まれ、執拗にラックサイドのぎりぎりを真っ直ぐに攻められます。
必死のディフェンスのSW選手たちでしたが、繰り返しの攻撃に、南無三、薄くなったサイドを突かれトライを許してしまいます。前半31分3−7。
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得意の突進からのトライを許したSWでしたが、すぐさまお返しとばかりの波状攻撃。たまらずゴール前に釘付けになるボアーズ。FWのサイド攻撃にSH長田のサイド攻撃もからめて、押せ押せ、のSWでしたが、あと一歩届かず、残念無念、ハーフタイムを告げるホイッスルとなりました。
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[スクラムなどで優位にたつFW陣] |
前半は、相譲らぬ互角の戦い。トライは成らずとも、スクラムなどで優位に立っているSW、最後には必ず勝利をもぎ取ってくれる。熱い思いを乗せたサポーターによる応援歌の大合唱が、敵地に響き渡ります。 |
後半スタートから、実力拮抗、両者がっぷり四つに組んだような展開。しかし後半9分、センターラインを挟んだ攻防の中、やや攻め込まれたラインアウトで、故意ならざる反則をとられたSW。このPGをボアーズ外国人CTBにきっちり決められ、3−10と先手を奪われます。
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これに対し、逃げ切り許すまじと、怒涛の攻撃に出るSW。LO三浦が、HO小野寺が、FL佐伯が、猛々しく突進すれば、LOルイラタ、FLファーディが、PR佐々木和樹がダイナミックなフォロー。SH長田のリードで、PR斉藤が、No.8須田が相手をなぎ倒します。
迎えた後半19分、敵陣で得たラインアウトから、FWの連続攻撃から左に展開し、スピードに乗ったBK陣が相手ディフェンスラインを突破。このチャンスに、すかさず抜け出したCTBニールソンが、値千金のトライ。FB津嶋のゴールも決まり、10−10の同点に追いつきます。
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[ニールソン 武蓮傳選手] |
[津嶋 俊一選手] |
直後のキックオフから、ボアーズに攻め込まれ、自陣ゴール前にたじろぐものの、粘るディフェンスに、ミスの出た相手から、ボールを奪うや、キックからカウンターで、WTB菅野が、一挙に相手ゴール前まで走り込みます。敵陣で繰り返されるアタックに、トライか、トライか、と、息がとまり、心臓が動悸するスタンドのサポーター。
後半32分、22m付近で得たペナルティを、FB津嶋が確実に決めたときには、うれしさの喧騒と安堵のため息に包まれます。13−10。
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ついにリードを奪ったSW、ここでインパクトプレーヤー、リザーブ馬渕を投入。残り10分を切り、このまま勝ってくれと、祈る気持ちで応援するスタンドですが、ここから、意地とプライドをかけた決死の反撃に出たボアーズ。SW陣22m付近で得たPGの機会も狙わず、ラインアウトを選択。崖っぷちのボアーズにとって、必要なのは勝利のみ。何としてもトライを奪わんと、決死の突撃を敢行してきます。
このピンチをしのいで何とか敵陣に行きたいSW、相手ボールのスクラムを何度も押しこみ、ラインアウトモールでの前進を許さず、相手のチャンスをつぶします。それでも、ゴールラインめがけて、遮二無二アタックを仕掛けてくるボアーズ。
反則は命取り、でも後ろに下がるわけにはいかない。応援と悲鳴が交錯する中、迎えた後半39分、ラックからの展開攻撃を、二度三度と浴びたSWは、とうとう、やや広めのブラインドサイドを、ディフェンスのミスマッチを見逃さなかった相手SHに走り込まれます。ロスタイムを前にした、痛恨の逆転トライ。ゴールも決まり、13−17。
追う展開になったSW。残り時間との戦いは、相手との、そして自分との戦い。ミスは許されない、それでも相手をのしていくアタックを続ける姿に、スタンドも、選手も一緒になって闘います。
タッチラインを割ったボールに、レフリーの手元を見つめ、ああ、まだ時間はある、と、胸を撫で下ろす暇もなく、即座に次の攻撃へと、渾身の力でプレーし続ける選手たち。走り続けても、体を張り続けても、どうにも届かないゴールラインがもどかしいSWに、ややもすれば、隙を見て攻めてくるボアーズ。
ロスタイムも経過した後半44分、やや自陣に戻された場面での手痛い反則をとられたSW。万事休す、相手にPGを献上して、13−20。
一大決戦は、SWにとって無念のノーサイドで幕引き。飛びあがって歓喜するボアーズを眼前にしながらも、それでもSW選手たちは、死闘の末、うつむくことはありませんでした。
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「自分を信じ、チームを信じ、よく戦った。シーズンは、まだ終わってない。結果の負けの悔しさは、次にぶつけよう。」
池村HCから労いと励ましを受ける選手たちの、顔を上げ続ける姿に、誇れる勝利は、きっと近づいていることを予感させていました。
第9戦は、11月21日(日)熊谷ラグビー場で12:00キックオフ、横河電機武蔵野アトラスターズとの一戦を迎えます。
チーム事情で強化を控えたとは言え、一昨年、トップリーグ実績のある猛者たちが相手。
連敗を喫した中で迎えるこの試合は、SW10周年記念シーズンにとって、まさに起死回生の一戦となります。
昇格へ向けて生き残りをかけた決戦に、皆さまの熱烈応援を、どうぞよろしくお願いします。
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今回は相手チームグラウンドでの開催でしたが、大勢のサポーターの皆さん、応援有難うございました。 |
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