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NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 D2 第8節/九州電力キューデンヴォルテクス戦

試合情報投稿日:2024.2.13

試合 NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第8節
試合名 東日本大震災復興祈念試合
対戦相手 九州電力キューデンヴォルテクス
対戦日時 2024年3月10日(日) 13:00 キックオフ
競技場 釜石鵜住居復興スタジアム(岩手県)
特設ページ NTTリーグワン2023-24 D2 第8節 東日本大震災復興祈念試合
チケット

オンライン先行販売中(0円)
 
<招待券について>
【配付場所】
セブン-イレブン 釜石中妻町1丁目店 2月14日(水)~3月9日(土)
セブン-イレブン 釜石甲子店 2月14日(水)~3月9日(土)
釜石市役所 本庁舎 総合窓口 2月14日(水)~3月9日(土)
釜石市各地区生活応援センター 2月14日(水)~3月9日(土)
釜石情報交流センター 2月17日(土)〜3月9日(土)
釜石シーウェイブスRFC事務局 2月14日(土)〜3月9日(土)
江釣子ショッピングセンターパル 〜3月9日(土)
岩手日報社 本社 〜3月8日(金)
IBC岩手放送 本社 〜3月8日(金)
テレビ岩手 本社 〜3月8日(金)

【席種・価格】
販売席種:自由席
価格:¥0
手数料:¥0

放送 J SPORTSオンデマンド
J SPORTS 1(22:30〜25:00)
IBC岩手放送(24:50〜26:50)
チームテント メンバー表、選手紹介ミニブックリーフレットの配布
ファンクラブの新規登録および更新の受付
ファンクラブ会員証への来場スタンプ押印および特典のお渡し
リーグワン公式試合記録
28-11WIN
前半 後半 前半 後半
2 2 T 1 0
0 1 G 0 0
0 0 PT 0 0
0 0 DG 0 0
1 1 PG 1 1
13 15 小計 8 3

メンバー

Starting
山田 裕介
伊藤 大輝
野口 大貴
セルジオ・モレイラ
タタナ ダラス
ベンジャミン・ニーニー
武者 大輔
サム・ヘンウッド[ ゲームキャプテン ]
南 篤志
落 和史
ヘンリー ジェイミー
石垣 航平
畠中 豪士
阿部 竜二
中村 良真
Reserves
16郷 雄貴
17稲田 壮一郎
18及川 智孔
19河野 良太
20セタ・コロイタマナ
21村上 陽平
22トンガ モセセ
23小野 航大

マッチレポート

※去る3月3日(日)、前節・第7節 NECグリーンロケッツ東葛戦の中止に際し、天候の不順とはいえ皆様に多大なご迷惑をおかけしましたこと、改めて主管クラブとして深くお詫び申し上げます。試合当日は、早朝より多くのシーウェイブスファンだけでなくグリーンロケッツファンにもお越しいただき、ピッチ上の雪かき作業をご一緒頂きました。書中ではありますが、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

どれだけの艱難辛苦が降りかかれば、我々に光が訪れるのか。

岩手の冬は、しばしば”2月までは雪は積もるけど、3月にはそれほど積もらない”という声を聞くことがあります。3月3日(日)、本来であれば第7節 NECグリーンロケッツ東葛戦の試合のあるはずだったこの日、15cm程の雪が乗って凍り付いたピッチを、大会運営スタッフだけでなく、ノンメンバーの選手、ボランティア、そして両チームのファンの方々も含めて100名以上が集まり必死に雪かきをしました。
この雪かきで集まったすべての人が必死に紡いだのは、”ラグビーが見たい””ラグビーがしたい”その想いひとつだったのではないでしょうか。残念ながら、当日の試合の実施は叶わず、キックオフ時間を遥か過ぎてから凍てついたピッチは溶けました。

そして、そこからの1週間、クラブ内外問わず大会運営に携わるスタッフは、ピッチコンディションの確保、この1点に大いに力を尽くして参りました。
一方、選手たちも、降り積もった雪の影響により練習拠点のある釜石からバスで約1時間かけて陸前高田市のグラウンドに移動して練習する日々を送ってきました。
3月に入ってから”釜石にとっては予想外の”降雪に苦しめられましたが、たくさんのファンのみなさんの想いが届いたか、2024年3月10日(日)の朝は眩い日差しの快晴で、いよいよ、”シーウェイブスにとって今シーズン一番大切な日の試合”を迎えることになりました。

東日本大震災復興祈念試合。

迎える九州電力キューデンヴォルテクス(以下、「九州KV」)は、目下5位。前回の対戦は9点差だった力もほぼ拮抗する相手。好ゲーム必至のカードです。

前節からの多くのラグビーファンの想いも載せたピッチは、しっかりと試合開催に耐えるコンディションで選手を迎えることができました。

そして、この日はリーグワン史上初の全観客の無料招待試合とし、シーウェイブスのメインスポンサーである日本製鉄株式会社様にはマッチスポンサーとして本試合の観客招待にも多大な支援を頂き、総力を上げての興行となりました。その結晶とも言うべき3,947名のご来場により、シーウェイブスの主管する興行としては史上最多の観客の皆様にご来場いただいた試合となりました。

当日の天候は晴れ、気温は6℃、時折強い風が吹き風向きはその時々で変わる、”いつもの鵜住居”が戦いの舞台となりました。
前試合に続けてゲームキャプテンを務めるサム・ヘンウッド選手(No8)は、ゲーム前ロッカーで、「今日、絶対にここで勝とう、いい試合にしよう、絶対にみんなで叶えよう。」とチームを鼓舞。続けて、この日はベンチからスタートとなったチームキャプテン・小野航大選手(WTB)は、「特別な日、特別なゲームだけど、特別なことはしなくて良い、準備したことをしっかり遂行しよう、お互い力は一緒、これは我慢比べだ」と声をかけ、チームは心ひとつに、ピッチに向かいました。

万雷の声援と幾筋もの大漁旗、赤いシーウェイブスの小旗がビッシリとはためくバックスタンドを前に入場したシーウェイブス。いつもと聞こえる声の量が全く異なる“音圧”が、一層この試合を引き立ててくれます。

スタジアム一体での被災者への黙祷を捧げ、13時2分、シーウェイブス・落 和史選手(SO)のキックオフで試合の幕が上がります。開始3分、敵陣深くでペナルティを得たシーウェイブスですが、ラインアウトからのモールからでは取り切れず、序盤、決定的なチャンスでの小さなミスが見え隠れする出だしとなりました。そして、前半10分、徐々に前進し、手堅く攻撃をビルドアップしてきた九州KVに先制のトライを許してしまいます。

しかし、ここからのシーウェイブスは、これまでとひと味違う姿を見せます。
しっかり一人ひとりがパスを繋ぎ、手堅く身体でボールを前に運んで攻撃をビルドアップ。相手ボールでも、一人ひとりが低いタックルで、九州KVが容易に前に進めないディフェンスを見せ、前半20分までの10分間はほぼ九州KV陣内で戦う展開となります。そして前半21分、相手のペナルティを得たシーウェイブスは、ショットを選択。落選手のペナルティゴールが決まり、3-5とします。
前半25分、ベンジャミン・ニーニー選手(LO)が右サイドで大きく前進し、続けてボールを受け取ったヘンウッド選手が、相手ディフェンスの一瞬のギャップを見逃さず、ディフェンスを突破。逆転のトライを取ります。
このトライに富来旗(大漁旗)と小旗がスタンド一杯に振られ、選手たちの背中を大いに後押しします。

続くキックオフからまたしても攻め込むシーウェイブス。
前半31分、中村 良真選手(FB)が絶妙に蹴り込んだキックパスを九州KVの選手がキャッチしてタッチへ。そのボールを受け取ったヘンリージェイミー選手(WTB)が、クイックスローでヘンウッド選手にパスをだし、ヘンウッド選手がガラ空きのゴールにトライ。相手の隙を突く集中力が冴える素晴らしい連携を見せます。

続くキックオフでは転がるボールを確保できず、相手に大きく自陣深くに攻め込まれますが、ゴール前に迫られても強固なディフェンスで九州KVの攻撃をたびたび阻んでスコアに結びつけさせません。九州KVは、前半40分・前半終了のホーンが鳴る中、シーウェイブスのペナルティで得たロングゴールを成功させ3点を返し13-8としますが、前半はシーウェイブスのリードで折り返します。

前半終了後のロッカールームにおいては、須田 康夫ヘッドコーチとネイサン・メイジャーアシスタントコーチが、引き続き良いエナジーでのディフェンスを継続することを呼びかけました。また被災地・宮城県亘理町出身の武者大輔選手(FL)は、細かい所作で余計なことをして反則することでゲームを崩さないように、改めて“我慢”を呼びかけ、チーム全員で最後まで結束する意識を持たせてピッチに戻りました。

九州KVのキックオフとなった後半は風下に立たされたシーウェイブス。
後半2分、相手のミスで敵陣深くに入ることができたシーウェイブスは、タタナダラス選手(LO)が大きくゴール前に前進。さらに野口大貴選手(PR)が作ったラックから、左サイドに走り込んだ中村選手にパスが渡ってトライを挙げます。この日のシーウェイブスは、後半幸先よい滑り出しを見せます。

しかし、そこから暫くは九州KVがアタックする時間が続きます。ボールを繋いで堅実に前に進もうとする九州KVですが、対するシーウェイブスのディフェンスも今日は冴え渡って簡単に前進を許しません。後半19分、九州KVはなかなか突破できない中で得たペナルティでショットを選択、3点を追加し、18-11とします。

我慢の展開が変わったのは、後半30分頃。
九州KV陣22メートル付近中央でシーウェイブス自慢のスクラムで九州KVからコラプシングの反則を誘い、落選手のショットで3点を追加。21-11とします。
続く展開では、後半から入った村上陽平選手(SH)のビッグゲイン等もあり、九州KV陣での時間が増えてきます。
そして、後半77分、ラックからこぼれたボールを村上選手が素早く処理、それに応えた中村選手がディフェンスの裏に飛び出し、大きく前進、大外で待っていたヘンリー選手にロングパスを繋げ、ヘンリー選手が走りきって勝利を決定づけるトライを決めます。続く落選手のコンバージョンゴールも決まって28-11。

後半39分、リードしている展開で残り時間1分という状況でもシーウェイブスはアタックを止めません。セタ・コロイタマナ選手(No8)がビッグゲインし、あっという間にゴール前に迫ってチャンスを得ます。この展開に九州KVがたまらずペナルティを犯し、シーウェイブスはダメ押しのトライ!としたかったものの、惜しくもボールをファンブルしてしまい、ここでフルタイムを迎えました。
この釜石鵜住居復興スタジアムで最後に勝利したリーグワン2022シーズンの順位決定戦(日野レッドドルフィンズ戦)から数えて、672日。長く遠のいていた釜石での勝利は、”シーウェイブスにとって今シーズン一番大切な日の試合”で結実しました。そして、同時に、今シーズンまだプレシーズンから一度も勝利していなかったチームに初の白星が灯った瞬間でした。

艱難辛苦を超えてたどり着いた1勝。

シーウェイブスの主管興行試合での最多観客入場者数を大きく更新した「東日本大震災復興祈念試合」での勝利は、会場に集まった多くの方の声が選手たちの背中を押して勝利に結びつくというシーウェイブスが目指してきた光景でもありました。このチームの勝利には、間違いなく多くのファンの皆様からの声援が必要だ。そう感じ入る勝ち方だったと思います。

そして、我々シーウェイブスが忘れてはならないのは、釜石の地でラグビーができること、我々の想像以上にたくさんの方に支援いただいていること、そのかけがえのない環境を忘れず謙虚に取り組み、成長し続けようと努力することです。

奇しくも、13年前の震災で被災した当時のシーウェイブスの選手の言葉で印象に残るのは、“ラグビーができるのは当たり前ではない”という言葉です。
ラグビーが当たり前にできるわけではないということを、形は違えどもこの2週間、天候不順の形で追体験した我々は、その経験の先に勝利を得ることができました。
そんなシーウェイブスの試合が、被災された皆様にとって幾許かでも、心の復興のサポートになることを願っておりますし、この試合がいつか「あの日の試合は、そういう試合だったね」と振り返って頂ける、そんな一戦として心に残ってもらえたら嬉しいです。

今週末は、NECグリーンロケッツ東葛を再度、釜石鵜住居復興スタジアムに迎えての一戦となります。今節の素晴らしい勝利の中にも課題は見え隠れしていました。良いこと・直すべきこと、それぞれしっかり見直し、短いタームでの準備に取り組むことで次節での勝利も見えてくるでしょう。

今節お越しいただいた沢山の方がまたシーウェイブスの試合を見たいと思ってお越しいただけるように、ご来場の皆様に改めてシーウェイブスとして良い勝ち方を見せられるように、引き続きクラブ一丸となって取り組んで参ります。

最後になりますが、東日本大震災被災13年。
被災地に根ざすチームとして、改めて、謹んで被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。

マッチレビュー

須田 康夫ヘッドコーチ

本日は、たくさんのお客さんに入って頂き、素晴らしい環境の中でラグビーをできたことに非常に光栄に思っておりますし、釜石シーウェイブスとしても、3.11の前の復興祈念試合として執り行えたことも光栄に思っております。

ゲームの内容といたしましても、この日に込めた思いが全面に出た試合だったと思います。前節は雪の影響で延期になってしまいましたが、そういった鬱憤もしっかり晴らしながら、この九州KV戦にターゲットにしてきた部分も有ったので、やってきたことをほぼパーフェクトな形で遂行できたのではないかなと思います。
その結果、今季初勝利できたことを嬉しく思いますし、選手たちにもおめでとうと言いたいと思います。本日はありがとうございました。

13年前、現在のチームのメンバーも、釜石におらずともいろいろなところで震災の影響を受けたと思います。その中で、この地域で何が起きて、ということを理解しながら3月10日は「普通の日常が有った」中で、3月11日はその普通のものがなくなってしまったことを、我々はしっかり理解しないといけない。普通にあるものに感謝して、最後まで諦めないラグビーの姿で、そういった感謝を表現できればと思い、このゲームに臨みました。

3,900人を超えるお客さんに来ていただいて、非常に期待の表れを感じましたし、選手たちが素晴らしいパフォーマンスをした理由の中には、たくさんの歓声があったというのが、1つの理由であったと思います。

サム・ヘンウッド ゲームキャプテン

まず、今日はチームをすごく誇りに思います。
今まで見たチームのパフォーマンスの中で最高のものだったと思います。
これだけ多くのファンの皆さんが集まった中で、このようなパフォーマンスを見せられたことを本当に嬉しく思います。

また、震災復興祈念試合にあたっては、私は、ここでプレーして4シーズン目ですが、毎年毎年、少しずつ情報が蓄積されていて、聞けば聞くほどに、釜石という地域により親しみを持てますし、どれだけ大切な日なのかも理解できます。

自分は震災のときには日本にいませんでしたが、ファンの方からも震災のお話を聞いて、感情的にこみ上げてくる想いもありますし、それが、パフォーマンスにつながっている部分もあると思います。

スポットライト

サム・ヘンウッド ゲームキャプテン

本日の試合を終えて、まずご自身の感想は?
チームを誇りに思います。準備したプランを完璧に遂行することができました。
チームとしての素晴らしい努力の成果が出ていて、一人ひとりが自分の役割を果たすことができて、それができるといい成果が出ることが体現できたと思います。何より、ディフェンスはすごく誇りに思います。

東日本大震災復興祈念試合としての開催、どんな気持ちで今日臨みましたか?
背景がある試合なので、モチベーションを高めやすいゲームでした。何のためにやるのかがはっきりしている。このスタジアムも、チームも、震災ということが大きく関わっている、モチベーションを高めるにあたっては、とてもマインドを高めやすい試合だったと思います。

前節の中止も含めて、天候の安定しない中の練習、準備が続きましたが、この試合に向けてどんなところを気にして準備しましたか?
陸前高田市に南下しての練習だったりで、時間がかかったりはしますが、準備することは同じなので、中止はともかく、ゲームがあれば100%の準備で臨むので、あまり、天候や中止のことに対して意識せず、いつも通りにしっかり準備することを心がけていました。

今日は、チームにとっても最多観客動員記録を更新する、3,900人以上のお客さんが入られましたが、いつもとの違いは、ピッチでも感じられましたか?また、どんな印象を感じましたか?
はい、ウォームアップのときから、いつもと全く違うと感じましたね。お客さんの盛り上がりを感じたし、チャントや釜石コール、小旗や富来旗がはためいてる姿を入場口のトンネルを抜けてピッチに出て目の当たりにしたときに、すごく気持ちが高ぶるのを感じました。釜石に来てから、これほどのお客さんの熱気を感じたことがなかったので、本当に気持ちが高まりました。

次戦は、再試合として組まれるNECグリーンロケッツ東葛戦、再び釜石で開催のホストゲームに向けて一言お願いします。
今回のゲームのように良いゲームを見せたいと思っているので、今回のようにまた、多くの方に改めてご来場いただきたいと思っています。応援に来て頂けると頑張れますので、ぜひ会場にまた足を運んで頂けると嬉しいです。応援よろしくお願いいたします!

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